ニーズとは何か|ニーズを正しく把握して応える方法

マーケティング基礎知識

世の中のヒット商品やマーケティングの成功には、「消費者のニーズに応える」ということが必須条件です。
今回はそんな「ニーズ」について、そもそもの定義や、ニーズを正しく把握し応える方法について紹介します。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

ニーズとは何か

“ニーズ(Needs)”とは、訳すと「欲求、要求」といった意味になります。
マーケティングにおいては、「消費者が本当に欲しいもの」という意味で使われます。

ハーバード大学院の教授だったレビット博士の著書に、「ドリルを買う人が欲しいのは「穴」である」という格言があります。これこそがニーズを象徴した言葉です。

消費者が本当に欲しいもの、つまりニーズは、ドリルという工具そのものではなく、ドリルを使って開けられる「穴」なのです。穴を開けられる手段が他にもあれば、別にドリルでなくても構いません。
ちなみに、上記例の「ドリル」のように、消費者が直接的に求めているものをマーケティング用語で「ウォンツ」といいます。

例えばこんなシーンを想定してみましょう。女性同士のよくある会話です。

Aさん
Aさん

ジムに行きたい!

Bさん
Bさん

なんで?運動嫌いじゃん

Aさん
Aさん

痩せて綺麗になりたいの

Bさん
Bさん

なんできれいになりたいの?

Aさん
Aさん

痩せてきれいになって、素敵な彼氏を作りたい…!

女子同士だとよくある会話かもしれないですが、ここにも実はニーズにまつわるヒントが隠されています。

「痩せて綺麗になること」は、ニーズを満たすための手段の1つであり、Aさんが本当に欲しいのはジムに行くことでも、痩せて綺麗になることでもなく、「素敵な彼氏なのです。

つまりAさんのような人をターゲットとする場合、「ジムに通いたい」というウォンツから単にジムについて訴求するのではなく、通った後の効果や、その後の素敵な姿などを訴求する方が効果的になるのです。
更に、ダイエットにまつわるものだけではなく、パワースポットやマッチングアプリなどのコンテンツも受け入れられるかもしれません。

このように、面的に消費者が求めるもの(ウォンツ)ではなく、消費者が本当に欲しいもの(ニーズ)を見定めることで、消費者を心から満たす商品やサービスを提供することが可能になるのです。

ニーズとインサイトの違い

よくニーズについて語られるときに、「インサイト」と混同する場合があります。
「インサイト」とは、消費者自身も気づいていない、またはあえて表に出していない深層心理のことを指します。

例えば、こんなケースです。またAさんとBさんの会話です。

Aさん
Aさん

夏場はさ、靴下とか服のニオイが気になるんだよ…特に夕方とか…

Bさん
Bさん

確かに…1日着てると汗かいちゃうよ

Aさん
Aさん

ニオイをしっかり落とす洗剤は使ってるんだけど、一日着るとどうしてもねぇ

Bさん
Bさん

あ!着てるときのニオイを抑える商品知ってる?

Aさん
Aさん

なにそれ!知らない!!

Bさん
Bさん

柔軟剤で、時間たってもニオイを生み出さないっていうのが出たんだよ

Aさん
Aさん

知らなかった!着てるときのニオイに特化してるなんて画期的だね!

この場合、Aさんのニーズは「服のニオイをしっかり落としたい」というものです。

しかし、実は着用中のニオイが気になっていることがわかります。しかし、着用中のニオイを抑えることができることを知らず、まだニーズになっていません。

つまりこの「着用中のニオイを抑えることができる」という事実は、消費者自身も表に出していない深層心理、つまり「インサイト」なのです。

このインサイトを捉えたのがライオンが発売した「ソフラン プレミアム消臭」でした。
ブランド史上最速の発売10か月で累計販売個数1億個を突破し、防臭タイプの柔軟剤カテゴリーにおいて、売上数量がNo.1を記録する大ヒットとなっています。

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ニーズに応えるにはどうすればいいのか

ニーズはどのようにして把握して、応えることができるのでしょうか。
経験上、有効な手段は主に2つです。

ニーズに応える方法① 消費者の声を聞いて仮説検証を繰り返す

メーカーの商品開発で消費者アンケートを行わずに発売することは基本ありません。
ニーズに気付くには、ターゲットとなる消費者やユーザーに聞くことが最も有効な近道です。

消費者の声を聞くときに重要なことは、仮説検証を繰り返すことです。

例えば甘い物を男性が購入するニーズを知りたい場合、「なんで買ったのですか?」と聞いても「甘い物を食べたいから」という回答しか得られないでしょう。

例えば家族など、自分以外に買っているというニーズがあると仮説を立てた場合、「誰に買っていますか?」「普段どれくらいの頻度で買うのですか?」「なぜ家族に買うのですか?」といった質問が浮かんでくるでしょう。
仮説に沿った質問をすることで、仮説が合っているか間違っているかを判断することができるのです。

自分の想像力を働かせて、わからなければ身近な人に聞いて「こんなニーズがあるのでは?」という仮説を立てたうえで消費者に聞いてみることで、より精度の高いニーズ把握が可能となります。

消費者の声から仮説検証を繰り返して成功した例が、コクヨの「しゅくだいやる気ペン」という商品です。6,980円(税込)という価格ながら、現在まで発売本数1万5千本を突破するヒット商品です。

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「しゅくだいやる気ペン」はコクヨが発売した勉強への取り組みを見える化し、勉強の意欲を高めるというIoT文具です。発売後すぐにメディアで多く取り上げられ、高額ながら現在まで発売本数1万5千本を突破。そのヒットの理由をマーケティング観点から3つのポイントで解説します。

ニーズに応える方法② 「なぜ」を5回繰り返す

トヨタ生産方式のルールの1つに、問題を発見したらなぜを5回繰り返すというものがあります。問題の再発を防止するために、問題の根本的な原因を徹底的に洗い出すための方法です。

この「なぜなぜ分析」は、ニーズ把握にも非常に有効です。
例えば先ほどのダイエットしたいAさんの話です。Bさんが「なぜ?」を繰り返すことで、実はダイエットの本当の目的が彼氏を作ることということがわかりました。

これはなぜを繰り返さなければ出てこない事実だったでしょう。

Aさん
Aさん

ジムに行きたい!

Bさん
Bさん

なんで?運動嫌いじゃん

Aさん
Aさん

痩せて綺麗になりたいの

Bさん
Bさん

なんできれいになりたいの?

Aさん
Aさん

痩せてきれいになって、素敵な彼氏を作りたい…!

この方法は、企画や販促だけでなく、恋人や同僚との衝突でも有効です。
相手の「○○したい」「○○は嫌」という言葉に対して、「なぜ」を5回繰り返してみてください。きっと本当のニーズが見えてくるはずです。

ニーズはマーケティングの起点

消費者のニーズを感じ取り、欠けていた視点を得ることが、マーケティングの重要なプロセスといえます。ぜひ本記事を参考に、身近な例でニーズを考えてみましょう。

以上、ニーズとは何か、ニーズの捉え方について解説しました。

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