外出自粛で急拡大|Uber Eats成功の裏側にあった戦略とは

ヒット商品のマーケティング

在宅勤務の浸透や外出自粛により利用者が拡大したサービスの一つといえば、フードデリバリーでしょう。

中でも急成長を遂げているのが「Uber Eats(ウーバーイーツ)」です。Uber Eatsの文字が書かれた大きなリュックを背負って自転車を走らせる人は目に見えて増えました。

Uber Eatsは外食や日用品の配達代行プラットフォームで、世界各国で配車アプリを展開するUberの事業の1つ。サイトやアプリ上で近くの提携レストランが表示され、ユーザーが注文すると提携する配達パートナーに通知が届き、飲食店で料理を受け取ってユーザーが指定した場所まで料理を届けるという仕組みです。

Uberは2014年に飲食分野に参入し、2016年9月から日本でサービスを開始。右肩上がりで成長し、その加速度が新型コロナの影響でさらに増しています。

本記事では、なぜUber Eatsが後発ながら急成長を遂げることに成功したのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。




Uber Eatsが成功した理由

ヒットの理由① 配達パートナー、飲食店、ユーザーの順で拡大

Uber Eatsの新しいところは、マッチングビジネスであるという点です。

料理を注文したいユーザーと飲食店、配達パートナーの三者をマッチングしてサービスを展開しています。

新規性の高いマッチングサービスの難しいところは、拡大が軌道に乗るまでの初期段階です。
飲食店が増えないとユーザーが増えない、かといって飲食店の参画を促すにはある程度のユーザー数が欲しい、配達パートナーも必要になるなど、拡大するまでの最適な流れを見つけるのがとても難しいのです。もちろんコストも相当かかります。

そこでUber Eatsではまず配達パートナーを確保した上で飲食店の登録数を増やし、最後にユーザー数を増やすという順にビジネス展開を進めてきました。これが成功要因の一つです。

Uberでは自社にて配達員を用意しないため、新たな都市に進出した際にはまず配達パートナーと呼ばれる配達員を集めることが先決です。登録ステップを簡単にすることでハードルを減らし、自由な時間に働ける点をプロモーションしました。

飲食店向けにはUber Eatsの注文を簡単に受注できる専用端末を配布し、導入への不安を軽減。飲食店への支払い頻度を短くするなど徹底した飲食店視点でのサービス設計を行い、また初期登録を無料とすることでユーザー数が少ない中でも飲食店の掲載を増やしてきました。

サービス開始の2016年9月に150店だった提携レストラン数は東京から徐々にエリアを拡大し、2017年9月に1,000店、2018年9月に3,500店、3年経った2019年9月で1万4000店、2021年5月にはなんと10万店舗を突破しています。これは業界先行の出前館を超える数です。

 Uber Eats の登録店舗数 10 万店を突破

画像:Uber JAPAN Newsroomより

掲載店舗数が1万店を超えた2019年からユーザーを対象とした広告を展開。主にクーポンを軸としたプロモーションを打ち出し、トライアル利用を促進してきました。

飲食店が少ない中でユーザー獲得施策を打っても、食べたいものがないことから購入にはつながらず、結局広告費を無駄にしてしまうことになります。

配達パートナー、飲食店、ユーザーの順にうまく拡大できたことが、Uber Eatsが短期間でここまで成長できた要因の一つです。

急拡大の影にある課題

ここまで聞くと、「すごいお金かけてそう」と思われるかもしれませんが、実際そうです。
米ウーバーテクノロジーズが発表した2020年10~12月期決算は、売上高が31億6500万ドル(約3300億円)、最終損益は9億6800万ドルの赤字でした。

料理宅配サービス「Uber Eats」を含む配達部門の売上高は13億5600万ドルと3.2倍に伸びたものの、減収は3四半期連続。祖業のライドシェア事業の回復が足踏みもありますが、Eats事業での投資や収益性の低さもその一因となっているものと思われます。

ヒットの理由② 従来のサービスでは獲得できなかった単身層へのアプローチ

元々出前といえばファミリー層がユーザーの中心でしたが、最近は単身者がデリバリー注文する機会が増えたように思います。これもUber Eatsが広がったことが契機となりました。

Uber Eatsの特徴として、最低注文金額が存在しないことと個人経営の店舗が多いことが挙げられます。

一般的な出前サービスでは多くの店舗で最低注文金額が1,500円前後に設定されていますが、Uber Eatsでは最低注文金額を設けておらず、一人暮らしのユーザーも気軽に注文できる環境を整えています。

また競合がチェーン店の登録が多いのに対し、Uber Eatsには個人経営の店舗が多く登録されており、近所のちょっと美味しいお店から頼めるのも単身のビジネスパーソンから人気を集めるきっかけとなりました。

巣ごもりでデリバリー需要が拡大する中、今までの出前サービスで獲得しきれていなかった単身層からの支持を集めたことが、Uber Eatsのユーザー拡大につながりました。

今後は夜の利用で客単価を上げることが狙い

デリバリーサービスのホワイトスペースだった単身層を狙ったことで成功したUber Eatsですが、一方で一人の購入だと客単価が上がらないという課題もあります。

例えば1,200円の注文の場合、飲食店からUberへの手数料35%から配達パートナーへの支払いを引くと、Uberの取り分は100円~200円程度しか残りません。客単価が低いと収益性が極端に低くなってしまうビジネスモデルなのです。

そこで最近では単価の高い夕食での利用を促すプロモーションを行っています。今後は客単価をいかに上げるかが当面の課題となるでしょう。

松嶋菜々子&Matt 今夜、私が頂くのは… サイドカー篇|Uber Eats

ヒットの理由③ オンデマンドでユーザー体験を向上

Uber Eatsを初めて使ったとき、配達パートナーがちょっとずつ自宅に近づいてくるのをずっと目で追ってしまいました。

リアルタイムで注文状況がわかるオンデマンドという点が、Uber Eatsがリピーターを増やしてきた理由の一つでしょう。

ユーザーがアプリ上で注文すると、自分の注文が通ったのか、料理が調理中なのか、配達中なのか、また配達中の場合どこまで来ているのかが、リアルタイムで把握することができます。

注文の料理を届けてくれる配達パートナーの顔と名前が事前にわかる上、直接やり取りできたり評価できる仕組みも設けているため、安心して注文できるようになっています。

このリアルタイム性がユーザー体験を向上し、つい人にも教えたくなるサービスに仕立てています。

Uber Eatsが成功した理由 まとめ

以上をまとめると、Uber Eatsが成功した理由は以下3点と考えられます。

Uber Eats』が成功した3つの理由

  • 配達パートナー、飲食店、ユーザーの順で拡大
  • 従来のサービスでは獲得できなかった単身層へのアプローチ
  • オンデマンドでユーザー体験を向上

新規参入も多い業界で今後どのように成長していくのか注目したいですね。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さい。

関連記事 ヒット商品のマーケティング

ヒット商品のマーケティング
ヒット商品が売れた理由をマーケティング観点で3つのポイントから解説。




タイトルとURLをコピーしました