【SNS時代のヒット術】THE FIRST TAKEの“一発撮り”が人々を魅了する理由

ヒット商品のマーケティング

一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」。

2019年11月のチャンネル開設以来、約2年の間にアップされた動画は約260本(21年9月末時点)を超え、チャンネル登録者数は500万人を突破。

コロナ禍の新たな音楽体験を提供したことで加速度的に再生数を伸ばし、今やTHE FIRST TAKEの動画はSNSでのバイラルを生み出すきっかけになるなど、音楽業界に新たなヒットを生み出す媒体へと成長しています。

 「THE FIRST TAKE」再生数1位「DISH// (北村匠海) – 猫」※21年9月現在

本記事では、なぜ、「THE FIRST TAKE」がここまで人々を熱狂させるのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『THE FIRST TAKE』がヒットした理由

『THE FIRST TAKE』ヒットの背景には、SNS時代の視聴者のニーズを捉えたコンテンツ力がありました。

本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

『THE FIRST TAKE』がヒットした3つの理由

  • 「公式感」×「リアル感」による差別化
  • アーティストの素顔も垣間見える「距離感」
  • パッと見ただけでそれとわかる「統一感」

ヒットの理由① 「公式感」×「リアル感」による差別化

2000年代の音楽シーンといえば、CDが全盛の時代。
SNSもまだそこまで浸透していなかったため、テレビに登場するアーティスト、握手会をやるアイドル、人気番組の主題歌を歌うアーティストなど、大きなファンベースを持つアーティストしかヒットチャートにランクインしていない状況でした。

2010年代に入り、音楽業界の収益構造は大きく変化します。今や初回限定版のCDを楽しみにする若者はほとんどいないでしょう。
定額制(サブスクリプション)の音楽ストリーミングサービスが登場したことで、CDの時代からストリーミングの時代へと変わっていきました。

ストリーミング全盛の時代になり、音楽の“ヒットの法則”も変わりました。
2000年代以前は、人気ドラマの主題歌だったり音楽番組への出演がヒットの条件でしたが、最近では、YoutubeでのMVやSNSでの個人の推薦など、人々が音楽に出会うきっかけはデジタルにシフトし、多様化しています。

そんな今の時代にフィットしたのが、THE FIRST TAKEでした。

ハイレゾクオリティーの高音質と4Kの高画質という品質が生む「公式感」と、“一発撮り”の予定不調和が生み出す「リアル感」が、デジタルで音楽と出会うユーザーに刺さりました。

UGC(ユーザー生成コンテンツ)が増えたSNS上では、企業広告のような「公式感」が強いコンテンツは異質なものとして認識されてしまう傾向にあります。
一方で、音楽を豊かに体感するためのクオリティも重要です。

THE FIRST TAKEの「公式感」×「リアル感」は、デジタルで音楽と出会ういまのユーザーニーズを捉えたものでした。
同時に、他の音楽コンテンツとの差別化も果たしたのです。

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ヒットの理由② アーティストの素顔も垣間見える「距離感」

普段は見られないアーティストの素顔が伝わる距離の近さも、THE FIRST TAKEの大きな魅力です。

19年12月6日に公開した、 LiSA「紅蓮華」では、歌う前に「すごい色んなことが…今年あったじゃないですか?」とLiSAが語るところから始まります。演出ではなく、自身で発した言葉です。

SNS時代で情報が溢れかえる今、人々は、「憧れ」よりも「共感」からフォローする傾向にあります。
普通のMVでは映らない、演奏前の様子やシーンとした空気もあえて映すことで、見ている人がアーティストに「共感」しやすくなり、また見たくなるのでしょう。

また、“一発撮り”にすることで、アーティストの緊張感やライブ感が見ている人々に伝わり、思わず没入して鳥肌が立つような瞬間を生み出しています。

ただのパフォーマンス動画ではなく、ドキュメンタリーの要素も兼ね備えた「距離感」の近さが、見ている人々の共感を呼び、フォロワーを増やしているのです。

ヒットの理由③ パッと見ただけでそれとわかる「統一感」

Youtubeのサムネイルを見ただけで、「THE FIRST TAKE」とわかる人も多いのではないでしょうか。

動画を少し見ただけで「あの一発撮りの動画」とわかるほどに、THE FIRST TAKEのコンセプトは一貫しており、世界観が作り込まれています。

この統一感のあるブランディングが、THE FIRST TAKEが多くの人に受け入れられた理由の一つでしょう。

サムネイルの一本線、シンプルなロゴ、白一色のスタジオ、一本のマイク、一発撮りの収録――

シンプルで統一された世界観は、子どもから大人まで瞬間的に理解できるわかりやすさがあります。これがTHE FIRST TAKEが多くの人に認知されていった大きな足掛かりとなっています。

一方で、シンプルがゆえに飽きがこないような工夫も為されています。

例えばキャスティングにおいては、ヒットチャート、テレビの出演状況、ラジオのオンエア状況、YouTubeの再生回数など細かいチェックポイントを設け、それらの情報を参考にしながら選定しているそうです。

誰もが知るアーティストから知られざるアーティストまで起用することで、「懐かしい」とか「知らなかったけどなんか良い」という感覚が視聴者の間でつながっていき、度々話題を呼ぶのでしょう。

統一された世界観と、飽きさせないコンテンツ力で、幅広い層の人々から受け入れられるチャンネルへと成長しています。

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『THE FIRST TAKE』ヒットの理由 まとめ

以上をまとめると、『THE FIRST TAKE』がヒットした理由は以下3点と考えられます。

『THE FIRST TAKE』がヒットした3つの理由

  • 「公式感」×「リアル感」による差別化
  • アーティストの素顔も垣間見える「距離感」
  • パッと見ただけでそれとわかる「統一感」

SNS時代の消費者ニーズや空気感を上手く捉えた、THE FIRST TAKEのヒット術でした。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さいね。

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