【ヒット商品のマーケティング事例】ソフラン プレミアム消臭がヒットした3つの理由

ヒット商品のマーケティング

2019年に改良発売した、ライオンの衣料用柔軟剤「ソフラン プレミアム消臭」が売れています。

防臭に特化した“ニオイを生まない柔軟剤”として改良し、ブランド史上最速の発売10か月で累計販売個数1億個*1を突破。防臭タイプの柔軟剤カテゴリーにおいて、売上数量がNo.1*2を記録しました。

*1 ライオン公式HP 2020年01月30日プレスリリースより
*2 ライオン公式HP 2021年01月15日プレスリリースより

ソフラン プレミアム消臭(Amazon外部リンク)

本記事では、なぜ競合ひしめく中「ソフラン プレミアム消臭」がヒットしたのか、その背景をマーケティング観点から分析し、皆様の仕事に役立つトピックをお伝えしていきます。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『ソフラン プレミアム消臭』がヒットした理由

『ソフラン プレミアム消臭』がヒットした背景には、柔軟な発想が生んだアイディア力が隠されていました。
本記事では、以下3つのポイントから分析していきます。

 『ソフラン プレミアム消臭』がヒットした3つのポイント

  • 「ニオイを消す」から「生まない」という発想の転換
  • 訴求ポイントを尖らせたラインナップ戦略
  • 話題性から信頼につながった”やりすぎ”な効果検証

ヒットの理由① 「ニオイを消す」から「生まない」という発想の転換

衣料用柔軟剤は元々、洗濯の際に衣類を柔らかく仕上げるために生まれた商品でした。
しかしながら現在はユーザーニーズも多様となり、「残香」「防臭」「柔らか」「プレミアム」の4つの分類に分かれ、数多くの商品が存在しています。

防臭タイプの柔軟剤を購入する人のニーズは「嫌なニオイがしないこと」や「抗菌効果があること」。よって、メーカー各社は「消臭効果が高いこと」「抗菌力があること」といった訴求はほとんどでした。

そんな中、ソフランは今までにないコンセプトを打ち出します。それは、「ニオイを生み出さない」というものです。

消費者調査を繰り返す中で、防臭ニーズを持つユーザーは家族の衣類のニオイに悩みを抱えていることが判明しました。特に “帰宅後の靴下のニオイ”は特に不安の種となっており、対策をしても無駄だと半ば「諦めていた」ことがわかりました。

そこで、従来の常識であった「ニオイを”消す”」ではなく、「そもそもニオイを”生まない”」というコンセプトに発想を転換し、「臭くならない服は、つくれる」というキャッチコピーで商品を展開したのです。

これが消費者の「着用中のニオイへの不安」というインサイトを突き、大きく売上を伸ばしました。従来の訴求から一歩抜け出した「発想の転換」により、競合と差別化を図ったのです。

消費者のインサイトを掴んで発想を転換することで、今までにないアイディアが生まれる

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ヒットの理由② 訴求ポイントを尖らせたラインナップ戦略

柔軟剤市場は競合商品がひしめく巨大市場。そんな中でシェアを伸ばすために、ライオンが意識したことは「訴求ポイントを1点に絞る」ということでした。

本商品は2016年まで「香りとデオドラントのソフラン」という商品名でした。聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
名称からわかる通り、「香り」と「防臭」のどちらも同じ商品ラインナップで訴求していたのです。

しかし2017年に「プレミアム消臭プラス」としてリニューアルし、それ以降「ニオイ」に特化したラインナップを展開してきました。

柔軟剤ソフラン プレミアム消臭|家族の衣類をしっかり消臭|ライオン
進化した防臭力で「臭くならない服」に変える※『ソフラン プレミアム消臭』新登場(※当社従来技術比較)。詳しい製品情報や正しい柔軟剤の使い方もこちらでチェック!

同社が心がけたのは「消費者の不満や悩みに応える特徴を、1つに絞り込んで世に送り出す」ということ。そして、ソフラン プレミアム消臭で着目したのが「着用中のニオイ」でした。

2019年の改良後、さらに消臭力を高めた『ソフラン プレミアム消臭 特濃 抗菌プラス』をラインナップに追加し、今年4月には”絶対無臭”を謳った『ソフラン プレミアム消臭 ウルトラゼロ』もラインナップに追加しています。

ソフラン プレミアム消臭 ウルトラゼロ

画像:ライオンHP 2021年03月17日プレスリリースより

あえて訴求ポイントを1つに絞り、「着用中のニオイ」に特化したラインナップを強化することで、消費者に強く印象付けることに成功したことが、競合商品が多い柔軟剤市場でヒットとなった理由の1つでしょう。

あえて訴求をそぎ落として尖らせることで、消費者に深く認知してもらうことができる

ヒットの理由③ 話題性から信頼につながった”やりすぎ”な効果検証

ソフラン プレミアム消臭の「ニオイを生まない」という訴求は新しい反面、「本当にそんなこと柔軟剤でできるの?」という不安を生むリスクもあります。

そのため、メーカーが新しい訴求を行う場合には、信用に足る理由もセットで必要となります。これを、RTB:「Reason To Believe(信用に足る理由)」といいます。

意外と知られていない言葉ですが、メーカーのマーケティングでは必ずといっていいほど考えるポイントの1つです。

同商品では、このRTBを満たすためにある方法を取って話題になりました。
それは、「5,000人分の使用後靴下を集めて効果を検証する」というものです。

ソフラン開発秘話〈ソフラン Twitter公式アカウントより〉

この実験結果は、同商品のTVCMや新聞広告にも用いられました。

ある意味”やりすぎ”といえるほどの実証実験が、「本当にニオイを抑えられるの?」という不安を払拭するだけでなく、話題性をもって消費者にアピールできたのです。
ライオンの研究開発力があるからこそ成し得た結果でもあるでしょう。

斬新なコンセプトを打ち出すだけでなく、消費者の不安を拭うRTBも押さえたことが、多くのユーザーの購入意向を高めたと考えられます。

コンセプトは、いかに信用してもらうことという点も重要なポイントとなる

『ソフラン プレミアム消臭』 ヒットの理由まとめ

以上をまとめると、ソフラン プレミアム消臭がヒットした理由は以下3点と考えられます。

 『ソフラン プレミアム消臭』がヒットした3つのポイント

  • 「ニオイを消す」から「生まない」という発想の転換
  • 訴求ポイントを尖らせたラインナップ戦略
  • 話題性から信頼につながった”やりすぎ”な効果検証

発想の逆転によるアイディアと、それを徹底的に貫いた企業努力が光る好事例です。

以上、ソフラン プレミアム消臭なぜヒットしたのか、背景にあるマーケティングについて分析しました。

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