R-1はなぜ売れた?トレンドを“つくる”ヒットの仕掛け

ヒット商品のマーケティング

老若男女問わず愛されるヨーグルト。
1973年には100億円に満たなかった国内ヨーグルトの市場規模は、2019年度で年間4000億円を超えるなど(明治調べ)、今も成長を続けています。

そんなヨーグルトの持つ可能性を広げた商品といえば、明治が発売する機能性ヨーグルト「明治プロビオヨーグルトR-1」(以下R-1)でしょう。

明治プロビオヨーグルトR-1

 画像:明治

2009年に発売された同商品は、その健康価値がメディアで注目されたことをきっかけに火がつき、2012年頃から爆発的にヒット。今や知らない人はいないほどのロングセラー商品へと成長しました。

R-1のドリンクタイプは、日本でNo.1*の販売金額を記録し、2021年5月には中国進出を果たしました。

*明治公式ホームページより|インテージSRIドリンクヨーグルト市場 2018年8月~2019年7月累計販売金額

本記事では、なぜR-1がヒット商品となったのか、長く愛される理由をマーケティングの観点から分析し、皆様のアイディアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

明治『R-1』がヒットした理由

明治『R-1』がヒットした背景には、失敗を恐れず最初にやってみるというチャレンジ精神がありました。

本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

 『明治プロビオヨーグルトR-1』がヒットした3つのポイント

  • ヨーグルトの価値を高めた新カテゴリーの創出
  • トレンドを“つくる”というパイオニア精神
  • 明治が築き上げてきたノウハウと研究開発力

ヒットの理由① ヨーグルトの価値を高めた新カテゴリーの創出

今や特定の健康効果をうたった「機能性ヨーグルト」というジャンルの商品は数々ありますが、その先駆けとなったのが、2000年に発売された「明治プロビオヨーグルトLG21」(以下LG-21)でした。

一般的に胃酸に弱いとされる乳酸菌ですが、胃内での生残性と増殖性が高い「LG21乳酸菌」を発見。

それまでのヨーグルト+αの価値を付与し、発売初年度から約80億円の売上を記録するなど大きな話題を呼びました。

明治プロビオヨーグルトLG21

画像:明治

LG-21での成功を足掛かりに、2009年に発売されたのが、「明治プロビオヨーグルトR-1」でした。

明治が保有する6000種類以上の乳酸菌ライブラリーから「1073R-1乳酸菌」を採用。
「強さひきだす乳酸菌」をキャッチコピーに、体調管理を目的としたヨーグルトとして発売されました。

地道なPR活動と、世間の健康への意識の高まりからブームを巻き起こした同商品は、「機能性ヨーグルト」というジャンルを確立し、以降各社から次々と後発商品が投入されました。

LG-21で開拓した「機能性ヨーグルト」というジャンルを、R-1で一大市場に育て上げたのです。

それまで漠然と「健康にいい」というイメージを持たれていたヨーグルトを深堀し、乳酸菌の健康価値を新たなカテゴリーへとつなげた明治の着眼点が、ヒットの大きな要因でしょう。

カテゴリーを突き詰めた先の発見が、新たなカテゴリーにつながることがある

ヒットの理由② トレンドを“つくる”というパイオニア精神

「機能性ヨーグルト」というジャンルを見事に確立した同商品ですが、発売当初は全くといっていいほど売れませんでした。

ヒットしたのは2012年頃。発売から実に3年近くの不毛の時期を乗り越えています。

商品の入れ替えが激しい食品業界において、撤退せずにチャレンジし続けた背景には「トレンドをつくる」という思いがありました。

R-1は「強さを引き出す乳酸菌」という今までにない健康価値を訴求したヨーグルト。
時間はかかっても必ず商品の価値が消費者へ伝わると踏んだ明治は、幼稚園や小学校、スポーツイベントやキャンペーンなど様々な機会で配布し、地道なPR活動を続けました。

R-1は特定保健用食品や機能性表示食品ではないため、機能性や効果効能については訴求できません。
そのため消費者自身で実感してもらうというPR活動を地道に続けることで、価値伝達を図ったのです。

地道なPR活動と、世の中の健康意識の高まりが合致したとき、「R-1」ブームは突然やってきました。

2012年1月に免疫力の向上効果などが複数のメディアに取り上げられ、日本中のスーパー・コンビニからその姿を消すほど人気となったのです。
このブームをきっかけに、今や明治の主力商品にまで成長しています。

ある分野のパイオニアとなることは、消費者に受け入れられるまで時間やコストがかかりますが、一方で成功すれば先行者としての信頼や利益を得ることができます。

今あるニーズに応えるだけでなく、先のニーズを読みトレンドをつくるというパイオニア精神が「R-1」成功の基盤となりました。

「ニーズに応える」「トレンドに乗る」だけでなく、「ニーズを読む」「トレンドをつくる」という精神も大切

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ヒットの理由③ 明治が築き上げてきたノウハウと研究開発力

明治が現在の「明治ブルガリアヨーグルト」の前身にあたる「明治プレーンヨーグルト」を発売したのは今から50年前の1971年のこと。日本で初めてのプレーンヨーグルトでした。

そこから始まった明治の乳酸菌研究が、R-1誕生の礎となっています。

「いままでにない新商品を作る」というコンセプトのもと、自社保有する6,000種類以上の乳酸菌ライブラリーから選び抜き、製品化に繋げた同商品。

研究開発にかかった期間はなんと十年以上。
乳酸菌の機能性のみならず、継続しやすいおいしさや適正な容量など、完成度の高い商品を作り上げました。

R-1の成功は、明治が築き上げてきたノウハウと開発力がなければ成し得なかったでしょう。

地道な努力で築いたノウハウや知見は、誰も真似し得ない武器になる

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明治『R-1』ヒットの理由まとめ

以上をまとめると、『R-1』がヒットした理由は以下3点と考えられます。

 『明治プロビオヨーグルトR-1』がヒットした3つのポイント

  • ヨーグルトの価値を高めた新カテゴリーの創出
  • トレンドを“つくる”というパイオニア精神
  • 明治が築き上げてきたノウハウと研究開発力

失敗を恐れないチャレンジ精神と地道な継続は、どの商品やサービスの成功にもつながっているでしょう。
世に出ていないアイデアはまだまだ眠っています。この機会にぜひヒット商品に触れて、アイデアのヒントを探してみてください。

以上、『R-1』がヒットした理由について分析しました。

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