【ヒット商品のマーケティング分析】湖池屋 プライドポテトが売れた理由

ヒット商品のマーケティング

皆さんはこちらの商品を食べたことはありますか?

湖池屋プライドポテト 芋丸ごと 食塩不使用

老舗スナック菓子メーカー・湖池屋が、2017年に自社の新たなブランドラインとして発売したポテトチップス『湖池屋プライドポテトです。食べたことはなくとも、このパッケージを見たことはあるという方は多いのではないでしょうか。

「湖池屋プライドポテト」は2017年に発売し、年間20億売れたらヒットといわれる業界で発売初年度から40億円の売上を超える大ヒットとなりました。

昨年2020年2月にはリニューアルを行い、発売3ヵ月で20億円を突破するなど勢いを増しています。

本記事では、なぜ「湖池屋プライドポテト」が人気となったのか、ヒットの背景にあるマーケティング戦略を解明し、皆様のお仕事に役立つトピックをお伝えできればと思います。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

「湖池屋 プライドポテト」が人気となった理由

「湖池屋プライドポテト」が売れた背景には、思い切ったマーケティング戦略の転換がありました。本記事では大きく以下3つのポイントにまとめて分析していきます。

湖池屋プライドポテトがヒットした3つのポイント

  • 差別化戦略への転換
  • ありそうでなかった『こだわりポテトチップス』のポジショニング
  • 一貫性のあるリブランディング

ヒットの理由① 差別化戦略への転換

まず前提として、ポテトチップスの市場を見てみましょう。

ポテトチップス市場のうち、74%※のシェアをカルビーが占めています。また、カルビーが低価格化戦略を取ったことで他社も追随し、ポテトチップス市場は全体的に単価が下がっています。

※ インテージSRI 全国全業態 累計販売規模(金額)ベース
2020年3月期:2019年4月~2020年3月 カルビーHP IR情報より引用https://www.calbee.co.jp/ir/investor

そんな市場の中、湖池屋は「ポテトチップス のり塩」を筆頭とした比較的安価な定番商品で戦ってきましたが、2016年に佐藤章社長が湖池屋に就任したのを契機に大きく戦略を変更します。それが「差別化戦略」です。

差別化戦略とは、競合他社とは異なる製品群を出し、新しい市場を開拓する戦略をいいます。

湖池屋は、市場の大半を占める低価格帯のポテトチップスとは一線を画した商品を起点として、市場を変える挑戦をしました。

ちなみに、自社の市場シェアによって取るべき戦略をまとめた理論を『競争地位別戦略』といいます。
1980年にフィリップ・コトラーが提唱したもので、マーケットシェアの観点などから企業をリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーの4つに分類し、それぞれの地位に応じた戦略を定義しています。

市場地位別戦略

参考: 高橋克義・桑原秀史『現代マーケティング論』(2008)

湖池屋がとった戦略はまさにこの理論では「チャレンジャー戦略」にあたります。トップシェアのカルビーとの差別化を起点に、シェア拡大に成功した好事例です。

長く続けてきた戦略を変えることは容易ではありません。この思い切った戦略方針の転換が、1つ目の成功の要因と考えられます。

ヒットの理由② ありそうでなかった『こだわりポテトチップス』のポジショニング

先述の「差別化」の戦略を成功させられたのは、ありそうでなかったポジショニングを見つけたことでしょう。

ポジショニングとは、ユーザーが求めるニーズを縦と横の2軸に分け、競合と自社の商品をプロットした図のことです(下記図参照)。

スナック菓子ポジショニングマップ

※カルビー・湖池屋の主要商品を抜粋、商品訴求を基に筆者が作成

商品画像ならびロゴは各社ホームページより引用
– カルビーHP https://www.calbee.co.jp/products/
– 湖池屋HP https://koikeya.co.jp/commodity/

湖池屋プライドポテトの発売前は、カルビーを筆頭に定番ポテトチップスの食感やフレーバー違いの商品が拡充されていました。定番カテゴリーはカルビーが強く、当時はシェアが伸びず厳しい戦いが続いていました。

そこで湖池屋は「日本で初めてポテトチップスを作った」という原点に立ち返り、素材と製法にこだわりぬいたポテトチップスを発売します。

その結果、図のように他社との差別化となるポジショニングを形成することができたのです。近年の健康・こだわり志向といった消費者ニーズとも合致したことで、大きく売り上げを伸ばしたのでしょう。

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ヒットの理由③ 一貫性のあるリブランディング

湖池屋のロゴが2016年に変わったのを知っていますか?

コーポレートロゴの変更(2016年10月~)

2016年10月のコーポレートブランド統合を機に、ロゴマークやスローガンなどを一新し、リブランディングを進めていきます。

その一貫性あるブランド戦略が、湖池屋プライドポテトの成功にもつながっています

そもそもブランドとは、お客様の頭の中に蓄積されていく価値を指します。
例えば、無印良品であれば「シンプル」、スターバックスであれば「美味しいコーヒーとくつろげる空間」といった想起される価値のことです。

湖池屋はリブランディングにおいて、それまでの親しみ・安心・楽しさという価値に加え、本格・健康・社会貢献を追加しました。
「老舗の料亭」をコンセプトとし、老舗企業である湖池屋ならではの味や素材へのこだわり、品質という価値を訴求するブランドメッセージを展開していきます。

このブランドメッセージの起点となったのが『湖池屋プライドポテト』です。

国産じゃがいも100%使用」をはじめ、素材も製法にこだわりぬいた商品開発。
パッケージは創業当時に一枚一枚こだわって揚げていた創業者のポテトチップスへの想いを表現した、他社と一線を画したデザイン。
広告では「国産ポテト」をメインに訴求したインパクトあるCMを展開しました。

湖池屋だからこそ実現できる味や素材へのこだわり、品質というブランド価値を、商品を通じて一貫して伝えることができたことが湖池屋プライドポテトの成功の一因でしょう。

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「湖池屋 プライドポテト」 ヒットの理由まとめ

まとめると、湖池屋プライドポテトのヒットの理由は以下3点と考えられます。

湖池屋プライドポテトがヒットした3つのポイント

  • 差別化戦略への転換
  • ありそうでなかった『こだわりポテトチップス』のポジショニング
  • 一貫性のあるリブランディング

こんな視点で湖池屋プライドポテトを食べたり他の新製品に注目すると、より楽しめるのではないでしょうか。

以上、「湖池屋プライドポテト」がなぜここまで売れたのか、ヒットの背景にあるマーケティング戦略の分析でした。

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