「プレスバターサンド」が僅か数年で人気土産ブランドとなった理由

ヒット商品のマーケティング

人気土産菓子「PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)」を知っていますか?

プレスバターサンドは、プレス機による挟み焼き製法により、クリームをサンドしたクッキーのこと。独特のザクザクとした歯ごたえ、バタークリームとバターキャラメルの二層構造からなる後を引く味わいが人気の菓子ブランドです。

2017年に発売を開始した同商品は、発売から僅か数年で東京近郊駅ビル、空港のほか、名古屋、神戸、京都、博多といった主要都市に19店舗を展開。年間で2500万個を売り上げるヒットブランドに成長しています。

PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)

画像:BAKE プレスリリース

発売元は、「お菓子のスタートアップ」といわれるほど急成長を遂げている、2013年創業のBAKE(ベイク)。

本記事では、競合ひしめく土産菓子の市場の中、なぜプレスバターサンドが発売数年で人気ブランドへと成長できたのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『プレスバターサンド』がヒットした理由

プレスバターサンドがヒットした背景には、業界の常識を覆した新たな戦略がありました。

本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)』がヒットした3つの理由

  • 「いつもと違うものを贈りたい」というニーズにフィット
  • デザイン性が高い見た目に反して中身は王道
  • 五感で楽しめる購入体験

ヒットの理由① 「いつもと違うものを贈りたい」というニーズにフィット

意外と定番に収束していくのがギフト菓子の流れ。例えば東京土産といえば、東京ばな奈、ねんりん家のバームクーヘンなどのロングセラー商品が人気を集め、新商品もクッキーや煎餅など定番菓子から誕生することがほとんどです。

定番菓子がお土産として人気を集める要因は、買う人に「これを贈れば間違いない」という安心感を与えてくれることでしょう。

一方で、「たまにはいつもと違うものと持っていきたい」という思いもどこかで持ち合わせているのではないでしょうか。多くの人は深層心理として「センスがいいと思われたい」という気持ちを持っているものです。

そんな思いに応えたのがプレスバターサンドでした。プレスバターサンドは、今までの土産菓子の定石をことごとく覆しています。

代表的なものがそのデザイン性です。無骨でポップとは逆を行くシンプルなパッケージは、パッと見たときにお菓子とわからないかもしれません。しかしながら手触り感のある紙をパッケージに採用したり、シンプルな中にも蛍光色アイコニックに使用したりと、“色彩”や“手触り” で、他にはない高級感、ギフト感を演出しています。

「PRESS BUTTER SAND」パッケージ

画像:BAKE プレスリリース

また、同ブランドで販売される商品はプレスバターサンドのみ。通常、菓子ブランドは色々な商品のラインアップを用意しますが、BAKEでは各ブランドで提供する商品は基本的に一つのみとしています。

商品を絞ることで、菓子のつくり方や見せ方、伝え方すべてにブランドのイメージ詰め込むことができ、顧客にイメージが伝わりやすくなります。また、オペレーションコストや商品のロス削減につながるというメリットもあります。

業界の当たり前から一線を画した戦略によって独自の存在感が生まれ、「たまにはいつもと違うものと持っていきたい」という顧客の心理に応えました。実際にはお土産としてだけでなく、バレンタインや誕生日の贈り物としても購入されているそうです。

またその新規性の高さから、差し入れ機会の多い芸能界でも人気となったことで、さらに認知は広がっていきました。

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ヒットの理由② 高いデザイン性に反して中身は王道

売り方やデザインにおいて新規性が高い一方で、どこか懐かしいような、広く受け入れられる味わいに仕上がっているのもプレスバターサンドの特徴です。

これは、BAKE創業者である長沼真太郎氏が提唱した「8割主義」によるところでもあります。8割主義とは、「8割の人が知っている商品かつおいしいと思う味わい」のこと。

素材そのものを生かした素朴な温かい味を指し、BAKEではその味を元にブラッシュアップを重ねながら、独自の味を目指しているそうです。

初めて食べたとき、「見た目は怖そうなのに喋ると優しい子」というような印象を受けました。この意外性が顧客の心を掴み、リピート購入や紹介につながったのではないでしょうか。

ヒットの理由③ 五感で楽しめる購入体験

プレスバターサンドは、その販売方法も尖っています。

化粧箱が並ぶ店内は、工業的なデザインで活版印刷の作業場のような異質な空間となっていて、「どんな味がするんだろう」とワクワク感を与えてくれます。

東京駅、博多駅では、ギフト菓子としては異例の作り手の姿が見れる工房一体型の店舗を展開。原料の生地やクリームは工場にて仕込み、工房のプレス機にて焼き上げを行い、焼きたての商品を販売しています。

 東京駅に構える工房一体型の店舗

同業態でのみ購入できる食べ歩き商品

画像:流通ニュース「BAKE/東京駅に新業態「PRESS BUTTER SAND」、ギフト菓子に参入」より

見て、匂いで、音で、そしてそのまま食べられる。商品のみならず、五感で楽しめる購入体験が、お土産としてだけではなく、自分へのご褒美需要にもつながったのでしょう。

『プレスバターサンド』ヒットの理由 まとめ

以上をまとめると、『プレスバターサンド』がヒットした理由は以下3点と考えられます。

PRESS BUTTER SAND(プレスバターサンド)』がヒットした3つの理由

  • 「いつもと違うものを贈りたい」というニーズにフィット
  • デザイン性が高い見た目に反して中身は王道
  • 五感で楽しめる購入体験

もし食べたことがない方は、是非この機会にヒット商品を試してみて下さいね。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしていただけると嬉しいです。

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