2021年上期ベストヒット!フチのないホットプレートが売れた理由

ヒット商品のマーケティング

2021年にヒットした家電カテゴリーでは、コロナ禍で料理をする時間が増えたことで、調理家電が人気を集めています。

中でもホットプレートは、2020年累計売上が106億円(前年比140%)という大幅増を記録。おうちでペッパーランチを再現する動画「#ペッパーランチ」がTikTokでブームになるなど、ホットプレートを使ったレシピが話題となったことも人気の後押しとなりました。

そんなホットプレートで上期に特にヒットした商品といえば、「abien MAGIC GRILL」(J-FUN)でしょう。

abien MAGIC GRILL(J-FUN)

画像:abien MAGIC GRILLホームページより

独自のフィルム加工を施した厚さ3ミリメートルのグリルプレートで焼く調理家電で、そのユニークな見た目と機能性で一躍話題となりました。

3月には楽天市場の総合ランキングでリアルタイム1位、デイリー3位を獲得し、入荷まで2か月待ちの状態が続いていましたが、7月からは生産体制の強化により家電量販店での販売をスタートしています。

楽天市場の総合ランキング〈2021年3月18日〉

画像:J-FUN

本記事では、なぜ無名だった企業が「abien MAGIC GRILL」のヒットに成功したのか、マーケティングの観点からヒットの理由を分析し、皆様のアイディアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『abien MAGIC GRILL(アビエン マジックグリル)』がヒットした理由

abien MAGIC GRILLがヒットした背景には、無名ブランドをヒットさせるためのアイデアが隠されていました。

本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

『abien MAGIC GRILL』がヒットした3つのポイント

  • 機能性とエンタメ性を両立した斬新なデザイン
  • 無名でも売れた!クラウドファンディングの活用
  • 料理人の推薦による権威効果の獲得

ヒットの理由① 機能性とエンタメ性を両立した斬新なデザイン

同商品がヒットした最も大きな理由は、その見た目と機能性でしょう。

縁(ふち)がない極薄なプレートが生み出すスマートなデザインは、両端をわずかに湾曲させることで油などがこぼれにくいというユニークな仕様となっています。

また、スタンド脚と電源コードを外せるため丸ごと洗うことができ、使用後は棚の間など狭いスペースでも収納が可能です。

今までのホットプレートとは一線を画す機能性とデザイン性

画像:J-FUN

ホットプレートに対して消費者が抱えていた「収納に困る」「手入れが面倒」といった悩みを、画期的なアイデアで解消させたのです。

ホットプレートは1970年代から日本で普及し始めましたが、実は今と形状は大きく変わっていません。

新規性の高いデザインと機能性は、長年大きな技術革新がなかったカテゴリーだからこそ、多くの人の注目を集めたのでしょう。

さらには、見た目のエンタメ性によって多くのTV番組やSNSで紹介され、副次的に多くの消費者に認知が広がっていきました。

変化の少ないカテゴリーでアイデアを振り切ったことが、ヒットにつながったのです。

変化があまり起きていないカテゴリーでアイデアを振り切ることで、多くの人の注目を集める

ヒットの理由② 無名なのに売れた!クラウドファンディングの活用

いかにアイデアが良くても、消費者に知ってもらえないとヒットはしません。
家電の場合は特に、ブランドや会社の認知度は購入決定の要因となります。

発売元であるJ-FUNは、2008年に設立されたベンチャー企業ということもあり、知名度は高くありませんでした。

にも関わらず、ほぼ無名なメーカーがヒット商品を生み出せた背景には、クラウドファンディングをマーケティング手法として活用したことが挙げられます。

同商品は2020年10月より、プロダクト購入が主流のクラウドファンディングサイト「GREEN FUNFING」で販売をスタートしました。

次世代のスマートグリル〜 abien MAGIC GRILL 〜 薄さ3mmのプレートで焦げにくく、煙が出にくい新構造 油不使用で肉が焼け、アルミホイルなしで魚が美味しく焼ける
著名調理家も絶賛!魔法のグリル 【主な特徴】 油少なく健康的 世界に類を見ない、次世代ホットプレート ・厚さ僅か3mm簡単収納 ー省スペースー  ・3ステップ取り出し片付け簡単 ー省タイムー  ・油不要で省カロリー  ー良環境ー  ・高温低消費電力  ー省エネー  ・焦げにくく、拭き取りやすく、水洗い可能...

当初の目標額は30万円でしたが、終了時にはなんと目標の60倍を超える1,880万円の売上を記録。購入者は1,000人を超える大成功となりました。

購入だけでなく、SNSでも話題となったことでPRにもつながりました。

自社商品をクラウドファンディングで販売するメリットは、新しいもの好きな利用者が多いことPR効果が高いこと、そして商品説明をしっかりと行えるという3つが大きなポイントです。

上述のクラウドファンディングページでは、機能性やデザイン性、使い方やお手入れ方法など、使用に際しての疑問や不安を解消するのに十分な情報が掲載されています。

斬新なアイデア性を持ちながらも、詳しい商品説明とユーザーへの知名度が必要となる同商品は、クラウドファンディングに最適だったのです。

もし知名度がない段階で家電量販店で販売されていたら、あまり売れなかったかもしれません。

クラウドファンディングをマーケティングと流通手法として活用し、弱みを好機に変えたのです。

知名度がないブランドでも、クラウドファンディングをうまく使うことでファンを獲得することができる

ヒットの理由③ 料理人の推薦による権威効果の獲得

MAGIC GRILLは「世界一きれいにパンケーキが焼ける」とプロの料理人がコメントしたことでも注目されました。

ホームページでも、人気レストランのシェフや料理研究家が推薦者として、おすすめのポイントを紹介しています。

ホームページ内で有名店のシェフがおすすめポイントを紹介

画像:abien MAGIC GRILLホームページより

プロの料理人が推薦している商品と聞くと、なんだか信用できると思いませんか?

これには「権威効果」という心理的効果が働いています。

権威効果とは、第三者の権威の後ろ盾を借りることで、評価が付加されるという心理的な効果のこと。同じ内容でも、発信者の権威の有無で説得力が異なるのです。

当初はブランドの知名度も低く、かといって大規模な広告をするコストはない。

そんな同商品が取った「プロの料理人に使ってもらい、気に入ってくれた人にPRしてもらう」という戦略は、ブランドへの信用を得られる理にかなったアイデアでした。

この権威効果は、ブランドへの信用や信頼を得るための有効な手段であり、日常でも取り入れられる方法です。

ブランドの信用形成には、その道のプロなどの権威に評価してもらって口コミを集めるのも手

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『abien MAGIC GRILL(アビエン マジックグリル)』ヒットの理由まとめ

以上をまとめると、abien MAGIC GRILLがヒットした理由は以下3点と考えられます。

『abien MAGIC GRILL』がヒットした3つのポイント

  • 機能性とエンタメ性を両立した斬新なデザイン
  • 無名でも売れた!クラウドファンディングの活用
  • 料理人の推薦による権威効果の獲得

商品や売り方に、ベンチャーならではのアイデアが光ってましたね。

ヒット商品を使ってみたいと思った方はぜひチェックしてみてください。

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