【ヒット商品のマーケティング事例】日本コカ・コーラ初の挑戦『檸檬堂』が売れた理由

ヒット商品のマーケティング

2019年に日本コカ・コーラが自社初のアルコール飲料を発売し、大ヒットさせたのを知っていますか?
それが今回紹介する『檸檬堂』です。

 日本コカ・コーラ『檸檬堂』

檸檬堂(れもんどう)|こだわりレモンサワー
こだわりレモンサワー 檸檬堂。お店のこだわりの味わいを目指したレモンサワー。あなたは何レモン?

檸檬堂は2019年10月より全国発売され、2020年にはメイン商品「檸檬堂 定番レモン」がSRIレモンサワー市場にて金額シェア1位を記録する大ヒットとなりました*。

*コカ・コーラボトラーズジャパン IR資料(https://www.ccbj-holdings.com/pdf/irinfo/124_1.pdf)より引用

本記事では、なぜアルコール飲料に初めて参入した日本コカ・コーラが、競合ひしめく缶チューハイ市場で成功できたのか、ヒットの背景にあるマーケティング戦略を解明し、皆様のお仕事に役立つトピックをお伝えできればと思います。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

檸檬堂がヒットした理由

檸檬堂がヒットした背景には、基本に忠実な”王道”マーケティング戦略がありました。

 『檸檬堂』の改良がヒットした3つのポイント

  • 一見難しそうな「レモンサワー」市場の選択
  • 競合と一線を画した独自のポジショニング
  • コンセプトを貫いたマーケティングミックス(4P)戦略

檸檬堂ヒットの理由① 一見難しそうな「レモンサワー」市場の選択

日本コカ・コーラは初めて投入するアルコール飲料の土俵として「レモンサワー」の市場を選びます。
一見すると、競合がひしめいているレッドオーシャンの中に飛び込むのは難しいように思えますが、なぜレモンサワーの市場を選択したのでしょうか。

新規参入する市場を選ぶとき、マーケティング観点で重視したいポイントが2つあります。
それは、「市場の経済的魅力」と、「経営資源とのシナジー」です。

実はその2点からみると、日本コカ・コーラがレモンサワー市場を標的とした納得できる理由が見えてきます。

市場の経済的魅力

まず市場を選ぶ際に留意したい1点目は、市場の規模、成長性、収益性、リスクといった点で、企業にとってどれだけ経済的なメリットが大きいかということです。

レモンサワーRTD(Ready to drink:蓋を開けてすぐにそのまま飲める飲料)市場は、ここ5年で約3倍となっています(以下グラフ参照)。
まさに成長期の市場であり、高い売上と収益が見込めます。

 レモンサワーRTD市場の推移

一方、成長期の市場は競合が多いため、「いかに顧客ニーズを掘り起こし差別化できるか」がとても重要となります。

経営資源とのシナジー

市場を選ぶ際に留意したい2点目は企業ブランド、研究開発、ノウハウ、チャネル、生産力といった経営資源との相乗効果を期待できるかということです。

日本コカ・コーラは炭酸飲料や清涼飲料水で培った炭酸技術やフレーバリングのノウハウがあります。また、流通チャネルや生産力といった強みもそのまま転用できます。

この2点から、レモンサワー市場であれば、自社の強みを活かして差別化を図ることで、大きな売上を期待できると判断したのでしょう。もしレモンサワーではなく、ビールやハイボール市場であればここまで売れる商品は作れなかったかもしれません。

檸檬堂ヒットの理由② 競合と一線を画した独自のポジショニング

上述で成長する市場に参入するには「いかに顧客ニーズを掘り起こし差別化できるか」が重要とお伝えしました。
檸檬堂は徹底した市場分析で、他社にはないポジショニングを形成したのです。これが成功要因の2つ目といえるでしょう。

 レモンサワーRTDポジショニングマップ【主要5ブランド メイン商品】

※各商品のアルコール度数、商品訴求を基に筆者作成

元々レモンサワー市場は、氷結を代表とする果実の瑞々しさを訴求する商品が多いマーケットでした。

そこで「本格感」というホワイトスペースに登場したのがサントリー「こだわり酒場のレモンサワー」です。
梅沢富美男さんを広告塔に起用し、しっかりとした味わいとアルコール感を表現した本商品は、M2層(35歳~49歳男性)をターゲットとしたものと予想されます。

そこで日本コカ・コーラは、お店で飲むような本格的な味わい、かつアルコール度数が低めで女性や若者が飲みやすいレモンサワーを製品化することで、独自のポジションを形成したのです。

また、果汁量の高い商品はあまりレモンサワーRTDになく、果汁感ある本格的な味わいがリピート購入にもつながったのでしょう。

関連記事 ポジショニングって何?知っておくべき意味と成功のポイント

ポジショニングって何?知っておくべき意味と成功のポイント
ポジショニングとは、「競合に勝てる土俵を探すこと」です。本記事ではポジショニングとは何か、競合に勝てるポジショニングの探し方を、企業事例を用いながらわかりやすく解説します。

檸檬堂ヒットの理由③ コンセプトを貫いたマーケティングミックス(4P)戦略

戦略は実行できなければ机上の空論になってしまいます。
そこで、考えたマーケティング戦略(What)をどうやって実行するか(How)を考えることを「マーケティングミックス(4P)」といいます。

以下4つの観点から、戦略の「How」を考えていくという考え方です。

マーケティングミックス(4P)の4つの観点

  • Product:製品
  • Price:価格
  • Place:流通
  • Promotion:広告宣伝」

関連記事 マーケティングミックス(4P)とは?実際に活用する方法【保存版】

マーケティングミックス(4P)とは?実際に活用する方法【保存版】
マーケティングミックスとは、顧客にどうやって買ってもらうかを4つの観点で考えることです。実際にマーケティングミックスを使うコツや、活用事例について詳しく解説していきます。

檸檬堂は、このマーケティングミックス(4P)においても「お店で飲むような本格的なレモンサワー」という戦略を一貫して実行していきます。

 『檸檬堂』マーケティングミックス

※檸檬堂の商品訴求を基に筆者作成

「Product(製品)」では、居酒屋の雰囲気を表現したパッケージが競合と一線を画しました。また、レモンサワーに絞ったフレーバーやアルコール度数のバリエーションを増やし、幅広い嗜好を取り込んでいます。

そして、このレモンサワーに絞ったラインナップは店頭での存在感(プレゼンス)を高め、消費者の目に留まりやすい販売戦略にもつながりました。

広告宣伝においては、雰囲気のある居酒屋で、阿部寛さんが提供するこだわりのレモンサワーを女性が1人落ち着いて飲むというものです。
果実感や爽快感を訴求した他社商品とは異なる印象を与えています。

 『檸檬堂』全国発売時コマーシャル

檸檬堂ヒットの理由 まとめ

本記事をまとめると、日本コカ・コーラが初めて発売したアルコール飲料「檸檬堂」がヒットした理由は以下3点と考えられます。

 『檸檬堂』の改良がヒットした3つのポイント

  • 一見難しそうな「レモンサワー」市場の選択
  • 競合と一線を画した独自のポジショニング
  • コンセプトを貫いたマーケティングミックス(4P)戦略

市場の選択、徹底したマーケティング分析による差別化戦略、一貫性のある戦略の実行と、まさにマーケティング戦略の基本を忠実に実行したお手本のような事例でした。

以上、檸檬堂のヒット成功の背景について解説しました。

タイトルとURLをコピーしました