忖度ゼロ!本音すぎるテスト雑誌「LDK」が人気を集める3つの理由

ヒット商品のマーケティング

本や雑誌などの紙メディアが売れない「出版不況」が叫ばれるこの時代。

かつては月に30万部以上売れていた有力誌も、いまや10万部を超えれば御の字といわれる中、創刊からたった5年で20万部を超える人気を集めている雑誌があります。

それが今回紹介する“テストする女性誌”「LDK」(晋遊舎)です。

創刊100号を迎えた「LDK」2021年10月号

2013年に創刊した同誌は、その名の通り、リビング・ダイニング・キッチンなど生活の周りのあらゆる商品をテストして評価する雑誌です。

様々な角度から徹底的に調査し、良いものは絶賛、悪いものはハッキリ悪いと評価します。そのあまりの本音すぎる姿勢は「ここまで言って大丈夫…?」と心配されるほど。

この徹底した中立的な評価が話題を呼び、主婦層を中心に人気を集めています。

本記事では、なぜ女性誌「LDK」が出版不況の中ヒットしたのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

雑誌『LDK』がヒットした理由

LDKがヒットしたのは、今までの女性誌にはできなかった価値を提供できたことが要因でした。

本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

雑誌『LDK』がヒットした3つの理由

  • 「トレンド発信」から「客観評価」への転換
  • 「憧れ」ではなく「リアルな悩み」を企画に反映
  • 第三者視点はメーカーや小売にとっても指針に

ヒットの理由① 「トレンド発信」から「客観評価」への転換

女性誌といえば、流行や美容の最新情報を発信する、いわば「トレンドの発信基地」というのが当たり前でした。

しかしながら今や情報収集はSNSで行う時代。わざわざ雑誌を買うことのメリットを享受しにくいことが、紙媒体が厳しい大きな要因でしょう。

そんな中LDKは、メディアという立場をうまく活用した「客観評価」という価値を提供して成功しています。

ここ数年で、商品のクチコミの評価を見てから購入することは当たり前となりました。
しかし一方で、「どのクチコミを当てにすればいいのかわからない」という悩みを抱える人も少なくありません。

そこでLDKは、消費者のニーズが高い市販品を専門家の指導の下に徹底的にテストし、その結果を根拠に基づいてレポートしています。
ときには「汚れが落ちない」「使いにくい」といった “本音”も赤裸々に載せています。

晋遊舎内には、メーカーの研究所のような検証ラボがある

画像:晋遊舎 プレスリリース

クチコミを見て商品を選択する人が増えれば増えるほど、クチコミの信憑性を確かめるために客観的な評価を求めるニーズも高まる。LDKはそのニーズをうまく汲み取りました。

ここまで中立的な評価ができる背景には、広告を一切入れないという同誌の方針があります。
そのため、メーカーに遠慮せずに商品の検証結果を公開でき、忖度なく評価することができるのです。

出版業界の常識を覆してまでもユーザーの求める情報を提供する。この同誌の姿勢が、読者の共感と信頼を呼んでいます。

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ヒットの理由② 「憧れ」ではなく「リアルな悩み」を企画に反映

LDKで取り扱うテーマは主に生活必需品であり、シャンプーやメイク品、掃除グッズなどが中心です。

その他には時勢に応じてヒットしているものや季節性のあるものを中心に、読者の悩みを解消する切り口から様々な商品が検証されています。

今年の2月には、長引く巣ごもりによって家事に疲れた主婦層向けに、ごはん作りの面倒を休めるテクニックやグッズを紹介。

憧れ感を生み出す女性メディアが多い中、日常の「リアルな悩み」を解消するテーマを提供しています。

【LDK2021年2月号】ごはん支度が楽になるような時短グッズやテクニックを紹介

画像:晋遊舎 プレスリリース

日々感じるような生活にまつわる悩みだからこそ、何度でも読みたくなる。だからこそ手元に残しておきたくなる。

リアルな悩みを解消する企画の切り口が「繰り返し読みたい」「他月号も見たい」という読者の気持ちを生み、紙面の継続的な購入にもつながっています。

ヒットの理由③ 第三者視点はメーカーや小売にとっても指針に

その忖度のない客観的レビューは、メーカーや小売にとっても価値のある情報となっています。

例えばメーカーではあまり重視されていなかった改良点についても、LDKという第三者からの指摘によって改良につながるというケースも見られています。

また小売店やバイヤーからも、販促する商品選びの指針の一つとなっています。
通常、新商品や改良品の商談は対メーカーごとに行うため、メーカー間での商品比較の情報は小売の立場からも有益な情報なのです。

さらに2020年10月には、イトーヨーカドーとの店頭コラボもスタートしました。

イトーヨーカドー新百合ヶ丘店では、コスメ専門の姉妹誌「LDK the Beauty」の情報発信コーナーを設置し、編集部が認めたベストコスメをメインに展示しています。

第三者視点での情報が、商品販促としても活用されているのです。

イトーヨーカドー新百合ヶ丘店のコスメ売場にLDK専用コーナーを設置

画像:晋遊舎 プレスリリース

LDKの第三者視点での評価は、消費者のみならず、メーカーや小売にとっても重要な指針として受け入れられています。

雑誌『LDK』 ヒットの理由 まとめ

以上をまとめると、LDKが売れた理由は以下3点と考えられます。

雑誌『LDK』がヒットした3つの理由

  • 「トレンド発信」から「客観評価」への転換
  • 「憧れ」ではなく「リアルな悩み」を企画に反映
  • 第三者視点はメーカーや小売にとっても指針に

「出版不況」を生んだ情報社会を逆手に取り、何を信じればよいかわからない消費者に新しい価値を提供して成功したLDKのヒット術でした。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さいね。

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