【企業研究のタネ】クリスピークリームドーナツがV字回復できた3つの理由

ヒット商品のマーケティング

2006年、アメリカから日本に上陸したあるドーナツを食べるために人々は長蛇の列を成し、日本中にドーナツブームを巻き起こしました。

それが今回紹介する「クリスピー・クリーム・ドーナツ」です。

クリスピー・クリーム・ドーナツ オリジナル・グレーズド ダズン 1,728円(税込) ※テイクアウト価格

画像:クリスピー・クリーム・ドーナツ 公式ホームページ

新宿の第一号店を皮切りに続々と店舗を増やし、上陸から9年で全国64店舗まで拡大しましたが、ブームは長く続きませんでした。

大手コンビニがドーナツ事業に参入したこともあり、“クリスピー離れ”が一気に加速。わずか3年で22店舗が閉店しました。

しかし2017年から新たに就任した若月貴子氏の大改革により、2018年3月期には4期ぶりの増益を果たし、2021年3月現在50店舗まで店舗数が増加。
見事V字回復を果たしたのです。

本記事では、撤退も囁かれた中、なぜクリスピー・クリーム・ドーナツがV字復活を果たせたのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『クリスピー・クリーム・ドーナツ』がV字回復した理由

クリスピー・クリーム・ドーナツがV字回復を果たせた背景には、従来のやり方から脱却したローカライズ戦略がありました。

本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

『クリスピー・クリーム・ドーナツ』がV字回復した3つのポイント

  • 地域や客層に合わせた店舗づくり
  • 日本人の味覚に合わせた商品づくり
  • 数よりも質を重視した接客改善

理由① 地域や客層に合わせた店舗づくり

同社立て直しの1つ目のポイントは、居心地のいい店舗づくりでした。

従来は本社アメリカの店舗の内装をそのまま持ってきた形でしたが、都市型の店舗では座席を2割減らし、カフェスタイルの内装にリニューアル。

ビジネスマンや若者が入店しやすく、かつ短時間でもリラックスして過ごせるよう大きく改善しました。

都市型店舗の内装を大幅リニューアル(渋谷店)

画像:ガイヤの夜明け「「クリスピー・ドーナツ」復活へ!」より

また千葉県の郊外にあるショッピングモールの店舗では親子連れの客層が多いためキッズコーナーを併設。

立地や客層に合わせて、店舗づくりを大幅に見直したのです。

この徹底した顧客目線での店舗づくりによって、徐々に来店客を増やしていきました。

地域や客層に合わせて店舗づくりを柔軟に改善した結果、徐々に来店客を取り戻した。

理由② 日本人の味覚に合わせた商品づくり

クリスピー・クリーム・ドーナツの人気が低迷した原因の一つに「味の甘さ」が挙げられます。

当時はアメリカのレシピのまま作っていたため、日本人にはやや甘すぎる傾向にあったのです。

そこで、店舗づくりだけでなく、商品自体も日本人に合わせて改良しました。

まず同社の人気商品だった「オリジナル・グレーズド」を改良。日本人の好みに合わせて甘さを抑え、新たに「ブリュレ グレーズド カスタード」を誕生させました。

日本人に合わせた味「ブリュレ グレーズド カスタード」259円(税込)※テイクアウト価格

画像:クリスピー・クリーム・ドーナツ 公式ホームページ

 

今年2021年にはデリバリー需要を受けて宇治抹茶を使ったオリジナルドリンク「宇治抹茶 レモネード」や、自宅やオフィスで淹れたてのドリップコーヒーが楽しめる『ダズン ブリュー ボックス』など、数々のオリジナル新商品を打ち出しています。

デリバリー専用期間限定ドリンク「宇治抹茶 レモネード」530円(税込)

画像:クリスピー・クリーム・ドーナツ プレスリリースより

さらに北海道のアウトレットモールの店舗では初のご当地商品「北海道チーズケーキ」を発売。初日には200人の大行列ができました。

顧客の声に真摯に向き合い、日本人のニーズに合った商品を提供したことで、再び顧客を呼び寄せたのです。

顧客の声に真摯に向き合い、ニーズに合わせた商品を提供することで、再び顧客の心を掴む

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理由③ 数よりも質を重視した接客改善

3つ目の改革は接客の改善でした。

日本に上陸してすぐブームを巻き起こした同社では、「いかに早く、いかに効率よく」というスピード重視の対応が根付いてしまっていました。

そこで接客の質を高めるため、従業員向けの研修方法を改善します。

従来は、各店舗の店長が個人の裁量で社員教育を施していたため、店舗間で接客の質にばらつきがあったほか、正しい接客方法を見直す機会もありませんでした。

そこで、iPadの動画で正しいマナーを学べる仕組みを導入。会社としてのスタンダードを、スタッフが同じレベルで学べるようにしたのです。

これにより、新入社員の早期戦力化と顧客満足度向上につながりました。

過去最悪の赤字から復活したマクドナルドの改革でも、接客改善は重要な施策の1つでした。接客態度の良し悪しは、来店へのモチベーションになればハードルにもなる、重要なポイントです。

どこの店に行っても、心地よく感じられるサービスを受けられる。この当たり前を追求したことで、徐々にクリスピー・クリーム・ドーナツへのイメージを向上していきました。

数よりも質を重視する接客に改善するための仕組みをつくり、ブランドイメージを向上

『クリスピー・クリーム・ドーナツ』復活の理由 まとめ

以上をまとめると、クリスピー・クリーム・ドーナツが復活できた理由は以下3点と考えられます。

『クリスピー・クリーム・ドーナツ』がV字回復した3つのポイント

  • 地域や客層に合わせた店舗づくり
  • 日本人の味覚に合わせた商品づくり
  • 数よりも質を重視した接客改善

徹底した顧客目線によるローカライズによる成功は、他の業態にもお手本になるような素晴らしい事例でした。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さい。

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