【ヒット商品のマーケティング事例】高級おつまみ缶詰「缶つま」がヒットした理由

ヒット商品のマーケティング

2010年の発売から、価格競争が激化する缶詰市場において、“お酒のつまみ”に特化して人気を集めている商品があります。国分グループから発売されている缶詰シリーズ「K&K缶つま」です。

 K&K 缶つま (Amazon 外部リンク)

一般的な缶詰の約5倍となる500円前後という価格ながら、こだわりの食材と新しいアイデアを強みに、シリーズ累計で約30億円以上を売り上げています。今や国分を代表する商品となった大ヒット商品です。

本記事では、なぜ「缶つま」がヒットしたのか、マーケティングの観点からヒットの理由を解明し、皆様のお仕事に役立つトピックをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『缶つま』がヒットした理由

缶つまシリーズがヒットした背景には、従来の市場から脱却したアイディアとこだわりがありました。
本記事では、以下3つのポイントから解説しています。

『缶つま』がヒットした3つのポイント

  • 缶詰市場を飛び出し「こだわりのおつまみ」で差別化
  • 戦う土俵を変えた流通戦略
  • 飲食店など新たな需要の掘り起こし

ヒットの理由① 缶詰市場を飛び出し「こだわりのおつまみ」で差別化

2010年当時、缶詰市場は価格競争による低価格化が進み、成熟しきっていました。さらに、コンビニや宅配サービスなどでいつでもどこでも食品が手に入ることもあり、保存食を買うニーズは低下していました。

「今までにない付加価値をつけられないか」と考えていたときに、たまたまタイアップしていた世界文化社のレシピ本「うまカンタン! 缶詰で作る酒のおつまみ 缶つま」を見て、お酒のおつまみに特化した「缶つま」ブランドを立ち上げることをひらめいたそうです。

世界文化社のレシピ本「うまカンタン! 缶詰で作る酒のおつまみ 缶つま」

家飲みの需要が高くなってきた昨今、「料理はしたくないけど、家でも居酒屋みたいなおいしいおつまみを手軽に味わいたい」というニーズは少なくありません。

同シリーズでは「広島県産 かき燻製油漬け」「明石だこのアヒージョ」など、これまでの缶詰では見かけなかった食材や調理方法が詰められています。
それまで培った缶詰製造の技術やノウハウを活かし、従来の缶詰とは一線を画したこだわりのおつまみ缶を作り上げたのです。

缶つま発売当時の缶詰市場の整理【3C分析】

 画像:筆者作成

市場や消費者のニーズを読みとり、かつ自社の強みを活かせる「こだわりのおつまみ」によって差別化に成功したことが、同商品がヒットした大きな要因でしょう。

従来の市場に囚われず、市場や消費者ニーズを読み取った差別化によって成功

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ヒットの理由② 戦う土俵を変えた流通戦略

同商品、実は缶詰売り場にはあまり売っていません

100円や200円の価格帯が主体の缶詰売り場で、ひと缶500円前後の缶つまを並べても中々売れないと考え、お酒を飲む人が行く売り場で販売することにこだわってきました。

食品スーパーでは、徹底しておつまみコーナーや酒売り場の近くに置いてもらうことをお願いしました。実際に同商品は、他の缶詰商品と違って、酒売り場の近くに缶詰の棚があるコンビニや酒屋での売上げが大きい*そうです。

*FOODS CHANNEL「国分の大ヒット商品「缶つま」の生みの親に聞いた、誕生と成功秘話~缶つま(国分)

また、新幹線などで出張するビジネスマン向けに駅の売店やエキナカ、さらには国産食材というこだわりを活かし、観光地やワイナリーなどで販売しています。

従来の売り場とは土俵を変え、狙いに沿った流通戦略をとったことが、今までにないユーザーや売上につながる結果となったのでしょう。

売り場を変えてみることで、今までにない売上やターゲットの獲得につながる

ヒットの理由③ 飲食店など新たな需要の掘り起こし

同商品は、消費者がそのまま買って食べるだけでなく、新たな需要にもつながりました。

その1つが飲食店での利用です。

缶詰のみを提供する「缶詰バー」は今やよく見かけるようになりましたが、缶つまの発売をきっかけに、本格的な味や食材ロスが出ないなどのメリットから、お酒をメインにしているバーでの使用が増えたのです。

また、グルメイベントに出店したり、キャンプなどのアウトドアに持っていくなど、今までの缶詰にはなかったニーズを獲得しました。

「こだわりのおつまみ」に特化し、新たなターゲットと売り場を開拓したことが、潜在的な需要を掘り起こすことに繋がったのです。

新たなコンセプトやターゲット、売り場の提案によって、潜在的な需要の掘り起こすことがある

『缶つま』 ヒットの理由まとめ

以上をまとめると、缶つまシリーズがヒットした理由は以下3点と考えられます。

『缶つま』がヒットした3つのポイント

  • 缶詰市場を飛び出し「こだわりのおつまみ」で差別化
  • 戦う土俵を変えた流通戦略
  • 飲食店など新たな需要の掘り起こし

停滞する市場から脱却した提案や、売り場を変えてみるというアイディアは、学べるポイントが多いのではないでしょうか。

以上、缶つまがなぜヒットしたのか、ヒットの理由について分析しました。

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