【ヒット商品のマーケティング事例】本麒麟が売れた理由

ヒット商品のマーケティング

皆さんは「本麒麟」を飲んだことはありますか?飲んだことはなくとも、パッケージやCMは見たことはあるのではないでしょうか。

本麒麟はキリンビール株式会社から2018年に発売され、約3カ月で1億本(350ml換算)を販売。過去10年の同社新商品で最速、売上No.1を記録し、その後も売上を伸ばし続けている大ヒット商品です。

本記事では、なぜ「本麒麟」がここまで売れたのか、ヒットの背景にあるマーケティング戦略を分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。




本麒麟が成功した理由

本麒麟は「力強いコクと飲みごたえ」をコンセプトに発売された新ジャンル(第三のビール)です。

本麒麟がヒットした理由について、「パッケージが赤くて目立つから」「美味しいから」などの意見が多いと思いますが、実はもっと深い理由が隠されています。

歴史的ヒットに成功した理由は、以下3つが大きな要因でしょう。

本麒麟が大ヒットした3つのポイント
  • インサイトを突くコンセプト
  • 土俵を変えたターゲティング戦略
  • マーケティング資源の選択と集中

本麒麟ヒットの理由① インサイトを突くコンセプト

新ジャンルは元々、酒税を安くするために作られた「ビールよりも安く買えること」が価値の商品でした。

しかし新ジャンルの発売から十数年経ち、手頃な中にも高品質なものを求めるニーズが高まっていたことに着目したのがこの本麒麟です。

それまでの新ジャンル飲料は比較的ライトな飲み心地の商品が多く、「ゴクゴク飲める」「料理に合う」といった正攻法のメッセージを打ち出していました。

本麒麟は、新ジャンルユーザーの「実はそう思っていた」インサイトを突くコンセプトを考えます。それは「本当はビールが飲みたい」というものです。

いわば「妥協されていた」新ジャンルにおいて、ビールらしい満足度を満たす「力強いコクと飲みごたえ」というコンセプトを立て、それを体現するものづくりを行いました。

また、赤いパッケージの“本格感”、「うまさ」に特化した広告戦略など、どうやって売るのか(マーケティングミックス)にまでコンセプトを貫き通したところがヒットの理由の1つでしょう。

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本麒麟ヒットの理由② 土俵を変えたターゲティング戦略

2つ目に、競合と土俵を変えたことでターゲット層の拡大に成功したことが挙げられます。

前提知識として、あるブランドの商品は以下要素の掛け算で売上数量が決まります。

(ターゲット人口)×(認知率)×(配荷率)×(購入率)×(購入回数)×(購入本数)

売上額を知りたい場合は、この計算の後に商品単価を掛けると算出できます。

本麒麟の発売前は、新ジャンルのターゲット層は「ビールよりも安く飲みたい人」でした。
本麒麟はこのターゲット層の裏にある「本当はビールが飲みたい」というインサイトを受け、ターゲット層を「ビールユーザー」に変更したのです。

新ジャンルの商品でビールユーザーを満足させることは簡単なことではありません。「キリンラガービール」と同じドイツ産ヘルスブルッカーホップの使用や長期低温熟成など、キリンが持つ技術力があったからこそ達成できた商品開発といえるでしょう。

普段ビールを選ぶ人をターゲットにすることで、「ターゲット人口」の母数を増やし売上の拡大が見込めます

更に、ール好きも満足する商品によって「本当はビールを飲みたい」と思っている新ジャンルユーザーにも刺さる商品にもなります

ターゲット層を修正することで、既存顧客の不満を充足することに成功し、かつターゲット人口を増やし大幅な売上拡大が可能になるというターゲティング戦略は見事です。




本麒麟ヒットの理由③ マーケティング資源の選択と集中

3つ目として、キリン全体のマーケティングにかけるコストを主要ブランドに絞ることで、主要ブランドの認知を広げられたという点が挙げられます。

本麒麟発売前までは、マーケティングコストは細分化され、多くのブランドでTVCMなどのプロモーションが行われていました。

しかしながら、薄く広く行うマーケティングでは消費者に深く届けることができず、商品選択に至らないことが多いのがよくあるマーケティングの失敗です。

マーケティングコストの掛けどころを選ぶことは、経営戦略の核となる考え方「選択と集中」が背景にあります。

経営学者のマイケルポーターの言葉で「戦略とは、何をやらないかを決めることである」とあるように、意味なく経営資源を分散するのではなく、勝てると見込めるブランドに経営資源を投下することで、企業の売上を達成することが可能となるのです。

2018年、キリンはマーケティングコストを主要5ブランドに集中することで、「ブランドを育成する」という方針に変えました。

これにより、本麒麟はコンセプトである「力強いコクと飲みごたえ」を軸にマーケティング施策を展開し、高い認知を獲得することに成功したのです。

ヒットの理由まとめ

まとめると、本麒麟成功の理由は以下3点と考えられます。

 本麒麟が大ヒットした3つのポイント
  • インサイトを突くコンセプト
  • 土俵を変えたターゲティング戦略
  • マーケティング資源の選択と集中

皆様もこんな視点で改めて本麒麟を飲んでみると、より楽しめるのではないでしょうか。

以上、「本麒麟」がここまで売れたのか、ヒットの背景にあるマーケティング戦略の分析でした。




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