【ヒット商品のマーケティング事例】お花のサブスク「ハナノヒ」が人気の理由

ヒット商品のマーケティング

1950年創業の老舗花屋「日比谷花壇」。
ブライダルにおける空間演出やブーケに定評があり、全国に約190店舗を構える同社が2019年に新たなサブスクリプション(定額制サービス)を開始しました。

それが今回紹介するお花の定額制アプリ「ハナノヒ」です。

日比谷花壇「ハナノヒ」

お花の定額制アプリ「ハナノヒ」お花屋さんでお花を選ぶ楽しさを気軽に!
「ハナノヒ」はもっと気軽に、日々の生活でお花を楽しんでもらいたい。お花屋さんでお花を選ぶ楽しさを感じてもらいたい。そんな思いを込めてできた、お花の定額制アプリです。

「ハナノヒ」とは、アプリ上でプランを選び、店舗でQRコードを読み込むだけで、毎月決まった分のお花を受け取れるサブスクリプションサービスです。

ハナノヒ 利用方法

 画像:ハナノヒ 公式ホームページより

先日日比谷花壇に買い物へ行くと、たった数分の滞在の間に5人以上のお客さんが次々とQRコードを店員さんに見せてお花を受け取っていくのを見かけました。

会員数は21年1月時点で約3万人に達し、新型コロナウイルスの流行前後で、会員数が約3倍に増加するほど人気を集めています(20年2月と21年1月を比較)*。

*日経XTREND「サブスクで3万人獲得 日比谷花壇の成功要因は実店舗にあり」より

本記事では、なぜ「ハナノヒ」が人気を集めているのか、ヒットの背景をマーケティング観点から分析し、皆様の仕事に役立つトピックをお伝えしていきます。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

お花のサブスク『ハナノヒ』がヒットした理由

日比谷花壇のサブスク『ハナノヒ』がヒットした背景には、消費者ニーズの変化をうまく捉え、他社との差別化を図る戦略がありました。

本記事では、大きく3つのポイントから分析していきます。

『ハナノヒ』がヒットした3つのポイント

  • あえて「店舗で受け取る」ことで得られる体験と安心感
  • ニーズの変化を捉えたサービス設計
  • 幅広い価格設定によるターゲット層の拡大

ヒットの理由① あえて「店舗で受け取る」ことで得られる体験と安心感

お花のサブスクリプションサービスには、青山フラワーマーケットが展開する「花の定期便」や、Crunch Styleが展開する「bloomee」など、様々な企業から展開されています。

そんな中『ハナノヒ』が他と一線を画しているポイントは、「店舗で受け取ること」です。

競合各社のほとんどは、自宅へのポスト投函または配送でお花が届く「配送型」。
一方ハナノヒでは、プラン対象の切り花を、実店舗で受け取る「対面式」を取っています。
一見手間のように見えますが、実はユーザーのインサイトをうまく衝いています。

本サービスのターゲットは「自分や家族のために、日常的にお花を楽しみたい人」。
実店舗で受け取るスタイルのハナノヒには、“選ぶ楽しさ”があります。

店頭に並ぶ四季折々の花々から、その日の気分に合わせて様々な色を選んだり、自分では選ばないお花にチャレンジしてみる。このような「選ぶ楽しさ」という体験を、付加価値として提供しているのです。

また自分で見て購入することによって、イメージとの相違や鮮度に対する不安を解消でき、気軽に始めやすいという点も優位性となっています。

あえて店舗で受け取るという方式を取ったことで、「お花を日常的に楽しみたい、でもイメージと合わないのは不安」というインサイトを捉え、豊かな体験と安心感を提供している点が、人気の理由の1つでしょう。

ユーザーインサイトを捉えることで、一見手間に見えることも付加価値にすることができる

関連記事 インサイトとは?その意味と隠された消費者インサイトを見つける3つの方法

インサイトとは?その意味と隠された消費者インサイトを見つける3つの方法
「インサイト」を衝くことで、消費者の認識や感情を大きく動かすことができます。そんな「インサイト」の意味と活用事例、隠されたインサイトを見つける3つの方法を解説します。

ヒットの理由② ニーズの変化を捉えたサービス設計

花のサブスクが人気を集めている背景には、お花に対する消費者ニーズの変化があります。

元々主なお花の購買目的は、記念日や誕生日などの「ギフト需要」。特別な日を華やかに飾りたいというニーズが主でした。
しかしながらコロナウイルスによる自宅時間の増加などの背景から、部屋に彩りが欲しいという理由からお花を購入する人が増えました。「日常でささやかに楽しみたい」というニーズが増加しているのです。

そんなニーズをうまく捉えたのがハナノヒでした。

配送型のサブスクの場合、1回あたり1000円程度からという価格設定が多くなっています。
一方、ハナノヒでは回数ごとの課金ではなく、月額制の料金体系をとっています。

例えば月額1,085円(税込、以下同)の「ココハナプラン」では、月6回まで毎回1本、対象の切り花から選ぶことができます。
1回あたりの本数を少なくすることで、月に購入できる回数を増やしているのです。

この独自のプラン設計により、「日常でささやかにお花を楽しみたい」という消費者のニーズを捉え、人気を集めているのではないでしょうか。

ユーザーニーズに合わせたサービス設計をすることが重要

ヒットの理由③ 幅広いラインナップによるターゲット層の拡大

ハナノヒは、プランのラインナップが幅広いことも特徴の1つです。
下は1,085円から、上は17,465円までの6つのプランを用意しています。約15,000円もの価格帯に幅があるサービスは中々ありません。

ハナノヒ プラン内容

 画像:ハナノヒ 公式ホームページより

月1,000円程度から始められるハードルの低さと、6つのプランから好きなものを選べることで、始めやすく続けやすいプラン設計となっています。

実際ユーザー層は幅広く、利用者の10%は男性とのこと。最も価格の高い「イコーハナヤプラン」では、法人利用も多いようです。

暮らしにお花を気軽に取り入れたい人から、法人利用にも対応できるほどのラインナップの豊富さによりターゲット層を広げ、ユーザー数を伸ばしているのでしょう。

ユーザーによるどんな使用シーンがあるのかを見定め、狙いに合わせたラインナップを取ることが大切

関連記事 ターゲティングとは?売れるターゲットを選ぶ方法

ターゲティングとは?売れるターゲットを選ぶ方法
ターゲティングとは、不特定多数の消費者の中から同じニーズを持つグループをターゲットとして設定することです。商品やサービスを売るためにはターゲティングが非常に大切です。本記事では、ターゲティングの定義や売れるターゲットを選ぶ方法について、0から解説します。

お花のサブスク『ハナノヒ』 ヒットの理由まとめ

以上をまとめると、日比谷花壇「ハナノヒ」がヒットした理由は以下3点と考えられます。

『ハナノヒ』がヒットした3つのポイント

  • あえて「店舗で受け取る」ことで得られる体験と安心感
  • ニーズの変化を捉えたサービス設計
  • 幅広い価格設定によるターゲット層の拡大

競合の参入も多い中、うまくターゲットニーズをくみ取り、他社との差別化に成功している好事例です。

以上、ハナノヒがなぜヒットしたのか、背景にあるマーケティングについて分析しました。

この機会にヒット商品をチェックしよう!

宣伝会議グループ「広告・Web・マスコミの転職はマスメディアン」

タイトルとURLをコピーしました