unoフェイスカラークリエイターが新市場を0から作り上げヒットした理由

ヒット商品のマーケティング

2019年、男性用化粧品市場に新たな変化が起こりました。
それは「男性用BBクリーム」の大ヒットです。

その立役者となったのが、資生堂の男性用化粧品ブランド「uno」から発売された『フェイスカラークリエイター』。
2019年3月に発売後、2021年2月までで累計出荷100万個*を突破。当時たった1品の商品で、ほぼゼロだった男性向けBBクリームの市場を創出しました。

 uno フェイスカラークリエイター【Amazon外部リンク】

フェイスカラークリエイター & バランスクリエイター & オールインワンリップクリエイター | 特集 | uno | 資生堂
フェイスカラークリエイター & バランスクリエイター& オールインワンリップクリエイター 特集

本記事では、なぜ「フェイスカラークリエイター」が市場を創造しヒットしたのか、背景にあるマーケティング戦略を解明し、皆様のお仕事に役立つトピックをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

『フェイスカラークリエイター』がヒットした理由

BBクリームとは、保湿クリームや日焼け止め、ファンデーションなどの機能を兼ねたオールインワンの化粧クリームのことです。塗るだけでしみ、目の下のくまなどをカバーし、肌をきれいに見せることができます。

女性の愛用者は非常に多い商品ですが、男性利用者はほとんどいませんでした。
そんな中で本商品が市場を創造してヒットできた背景には、時代を先読みした先見性と、ほぼゼロの市場を創造するための工夫がありました。

本記事では、以下3つのポイントで解説していきます。

『uno フェイスカラークリエイター』がヒットした3つのポイント

  • 隠れたインサイトを掴んだ市場分析力
  • トライアルのハードルをとことん下げた商品設計と啓蒙活動
  • 小さく始めて大きく育てた販売戦略

ヒットの理由① 隠れたインサイトを掴んだ市場分析

インテージが2020年に発表したレポート*によると、本商品が発売した2019年の男性用化粧品市場は2015年と比較して109%と大きく増加しているものの、その大半を占めるのがスキンケア品やシェービング用品。
BBクリームなどの「メイクアップ品」はドラッグストアなどの量販店には売っておらず、当時市場としてほとんど形成されていませんでした

*インテージ「化粧品は女性だけのものではない! 男性の肌ケア事情

一方、韓国トレンドの流入や伊勢丹新宿メンズ館にメンズコスメ専用のカウンセリング売り場ができるなど、意識の高い男性の間でコスメに対する意識が高まってきていたのも同時期。

そんな中で発売されたのが「フェイスカラークリエイター」でした。

“男性の肌悩みを速攻カバー”というわかりやすいコンセプトと、ドラッグストアなどで「ついで買い」できる手軽さによって、「肌をきれいに見せたいけど何を買えばいいかわからない、でも専門店に行く勇気はない」というインサイトを的確に衝いたのです。

当時まだ市場が形成されておらず競合商品もほとんどない中、本商品を発売するには勇気がいることだったでしょう。
消費者の声や世の中の動向を読み解き、消費者インサイトを捉え商品化につなげた市場分析力は見事です。

消費者インサイトを正確に読み解くことで、まだない市場を開拓できる

関連記事 インサイトとは?その意味と隠された消費者インサイトを見つける3つの方法

インサイトとは?その意味と隠された消費者インサイトを見つける3つの方法
「インサイト」を衝くことで、消費者の認識や感情を大きく動かすことができます。そんな「インサイト」の意味と活用事例、隠されたインサイトを見つける3つの方法を解説します。

ヒットの理由② トライアルのハードルをとことん下げた商品設計と啓蒙活動

「高級トースター」「男性用BBクリーム」など、今までになかった市場を形成する場合、まずぶつかる壁が「1回目を使ってもらうこと(トライアル)」です。

一度も使ったことがないものに対しては「失敗したくない」などの心理的不安が大きく、手に取るハードルが高くなるのです。逆に一度使ったことがあると、2回目の購入のハードルはぐっと下がります。

フェイスカラークリエイターはメイクという特性上、整髪料や洗顔料とは異なり、日本の一般的な男性にはなじみが薄い商品です。
そこで、「トライアル」のハードルをとことん下げる工夫が至る所に為されています。

unoブランドから出すことでスキンケアの延長として手に取りやすく、またパッケージコピーには「速攻肌色補正」「男性の肌悩みをカバー」と記載し、マイナスをゼロにする”悩み解決品”という印象を強くしています。

フェイスカラークリエイター パッケージ正面(2019年9月当時)

 ラインナップを敢えて1品に絞ることで、選ぶ手間をなくした点も特徴です(認知が広がった現在は2品に拡充しています)。

更にBBクリーム自体はあえて白っぽく、伸ばすと肌色になる設計にしたことで、クリームを塗るときに色がつくという抵抗感を軽減したそうです。
テレビCMでもその点がわかりやすく表現されています。

 uno フェイスカラークリエイター 『第一印象は、速攻つくれる』」篇

一方、資生堂が行ってきた地道な啓蒙活動も男性のメイクへのハードルを下げた要因の1つです。
企業研修や就活セミナーを通じて、第一印象の大切さや、メイクのベネフィットを根強く伝えてきました。

徹底してメイクへのハードルを下げることでユーザーが手に取りやすくしたことが、ここまで多くのユーザーに受け入れられた大きな要因でしょう。

徹底してハードルを下げることで、新しいユーザーを獲得できる

ヒットの理由③ 小さく始めて大きく育てた販売戦略

2019年3月の発売当初、本商品は一部のドラッグストアやECサイトなど、販売チャネルを限定して発売していました。
BBクリームは当時一般的な男性にはなじみが薄かったため、全国でいきなり発売するのはリスクが大きいと判断したのです。

そこで、ドン・キホーテやECサイト、一部ドラッグストアなど、ターゲットである若年層を狙ったチャネル選定を経て先行発売を行いました。
その結果、4ヵ月間の出荷実績が計画比の3倍を記録し、若年層だけでなく幅広いターゲットに受け入れられる結果となったのです。
売れ行きを見定めてから「いける!」と確信し、同年9月から全国展開を果たしました。

新規カテゴリーとなる男性用BBクリームの商品。全国で配荷するのはリスクが高いと判断するのは、資生堂だけでなく小売店も同じです。
小さく始めて結果を出すことで、在庫リスクを回避しながら、全国販売への足掛かりを着実に作りました。

同年12月にはテレビCMを展開し、2021年2月までで累計出荷100万個を突破する大ヒットに。
まさに、小さく始めて大きく育てることに成功した販売戦略です。

あえて小さくスタートすることで、リスクを回避して大きく成功できるチャンスがある

関連記事 マーケティングミックス(4P)とは?実際に活用する方法【保存版】

マーケティングミックス(4P)とは?実際に活用する方法【保存版】
マーケティングミックスとは、顧客にどうやって買ってもらうかを4つの観点で考えることです。実際にマーケティングミックスを使うコツや、活用事例について詳しく解説していきます。

 『フェイスカラークリエイター』ヒットの理由 まとめ

以上をまとめると、「フェイスカラークリエイター」がヒットした理由は以下3点と考えられます。

『uno フェイスカラークリエイター』がヒットした3つのポイント

  • 隠れたインサイトを掴んだ市場分析力
  • トライアルのハードルをとことん下げた商品設計と啓蒙活動
  • 小さく始めて大きく育てた販売戦略

市場を創造するのはとても難しいことです。本商品の成功は、他企業でも参考になるヒントが多いのではないでしょうか。

以上、uno フェイスカラークリエイターがなぜヒットしたのか、背景にあるマーケティング戦略の分析でした。

宣伝会議グループ「広告・Web・マスコミの転職はマスメディアン」

タイトルとURLをコピーしました