【ヒット商品のマーケティング】なぜコスタコーヒーは販売停止するほどヒットしたのか

ヒット商品のマーケティング

1971年にロンドンで創業し、ヨーロッパで3,500店舗以上を展開している老舗カフェ「コスタコーヒー」。そんなコスタコーヒーが今年日本コカ・コーラからペットボトル飲料として発売されました。

日本コカ・コーラ『コスタコーヒー』270ml・170円(税込)

画像:日本コカ・コーラ プレスリリース

2021年4月12日に発売されてすぐに想定を超える売れ行きから品薄となり、同月26日に全国発売した直後に出荷停止となったことでも話題となりました。同年6月から販売を再開し、コーヒーにこだわるビジネスパーソンを中心に人気を集めています。

本記事では、なぜレッドオーシャンな市場の中、高価格のコスタコーヒーがヒットしたのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。




『コスタコーヒー』がヒットした理由

ヒットの理由① 普段RTDを飲まない人をターゲットに

多くの缶コーヒーは、RTD(Ready to drink:蓋を開けてすぐにそのまま飲める飲料)のコーヒーを日常的に飲んでいるビジネスパーソンがメインターゲットでした。

そんな中、サントリーが発売したボトルコーヒー「クラフトボス」が登場します。今まで缶コーヒーがターゲットにしてこなかった「RTDコーヒーを飲んでいなかった若年層」にアプローチして大ヒットし、競合各社がボトルコーヒーの市場に次々と参入しました。

そこで、コスタコーヒーは競合とは切り口を変えたターゲットを設定します。それが「RTDを普段あまり飲まず、手淹れコーヒーを好むこだわり層」です。

今までの缶コーヒーともボトルコーヒーとも異なる「高級路線」で、カフェコーヒーや手淹れコーヒーの代替品としてのポジションを狙ったのです。

コンセプトに『バリスタ・クオリティ』を置き、2018年に買収したコスタコーヒーをブランドに掲げ、通常の1.3倍量のコーヒー豆、挽き立ての香りを閉じ込める製法、高圧の抽出法などを採用しリッチな味わいと香りを実現。

価格は170円と強気の設定ながら、「今までの缶コーヒーにはなかったクオリティ」と狙った通りの声を獲得しました。

今までのRTDコーヒーとは異なるターゲティングとポジショニングによって、差別化するとともに新たな顧客を取り込んだのです。

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ヒットの理由② コスタの価値を高めたリブランディングの巧さ

コカ・コーラは2018年にコスタコーヒーを51億ドルで買収しました。

どこが良いのか分からない、米コカ・コーラが51億ドルで買収する「コスタ・コーヒー」
店内は極めて普通。インテリアは販売されているフードとまったく同じで、当たり障りはなく、悪くはないが、特に良いわけではない。

コスタコーヒーを買収した当時は「なんでコスタコーヒー?」「買収額高すぎない?」と話題になったものです。というのも、コスタコーヒーはイギリスではどこにでもある“普通の”コーヒーショップ。特にハイブランドでもない庶民的なコーヒーショップを、なぜコカ・コーラは大金を出して買うのか、元は取れるのかと懐疑的に見ていた人も多かったように思います。

しかし日本コカ・コーラはコスタのブランド価値を見事に高めています。本当にブランディングが巧みです。

コスタコーヒー キービジュアル

画像:日本コカ・コーラ プレスリリース

「ヨーロッパが愛したこだわり」というメッセージで、信頼性と本格感を醸成し、テレビCM、新聞広告、デジタルや店頭プロモーションなど全方位のマーケ施策を一気に仕掛けることで認知を獲得しました。

商品もロゴをシンプルに使った上質なデザインにし、キャップにはRTDコーヒーにはあまりない「開栓前によく振ってください」と記載。振って開けると、広口な飲み口から芳醇な香りが漂います。

飲むまでの一連の体験を通じて、より一層美味しく感じられるという仕掛けとなっているのです。

ただのコーヒーではなく、購入前から飲む瞬間まで贅沢な体験に仕上げるコカ・コーラのブランディングが、コスタの価値を高めてヒットにつながったのでしょう。

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ヒットの理由③ 「飲んでみたい」を駆り立てた話題化のループ

コスタコーヒーは、SNSでの口コミでも注目を集めましたが、実はSNSでの話題化の中に、思わず飲んでみたくなる仕組みがありました。

発売前からのティザー広告などのキャンペーンを通じて、「飲んでみたい」「気になる」といった関心を集めて話題となり、認知がどんどん広がっていきました。

さらに発売後はすぐに品切れとなり、見つけた人がSNSでアップするたびに「やっと見つけた」「美味しかった」といった口コミが広がり、また話題になっていきます。

口コミによる話題化によって関心を集め、出荷停止は結果的に希少性につながり、さらに関心を駆り立てる。
このループが結果的に消費者の「飲んでみたい」という欲を駆り立てることになったのです。

昨今SNSでの話題化の予測はとても難しくなっています。いかに予測の精度を高めながら、欠品を避けつつ話題化のループを回すかが、今後の企業のチャレンジになるでしょう。

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『コスタコーヒー』ヒットの理由 まとめ

以上をまとめると、『コスタコーヒー』がヒットする理由は以下3点と考えられます。

コスタコーヒー』がヒットした3つの理由

  • 普段RTDを飲まない人をターゲットに
  • コスタの価値を高めたリブランディングの巧さ
  • 「飲んでみたい」を駆り立てた話題化のループ

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さいね。

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