【ヒット商品のマーケティング事例】なぜ無名の会社が「ボタニスト」のヒットに成功したのか

ヒット商品のマーケティング

実は女性向けシャンプーの市場がここ数年で大きく変わったのを知っていますか?

元々はユニリーバ、P&G、花王といった大手企業が独占していたシェアの中、突如無名の会社が展開するブランドが台頭してきました。

それがI-ne(アイエヌイー)が展開するシャンプー・トリートメントブランド『BOTANIST(ボタニスト)』です。

BOTANIST(ボタニスト)/I-ne

BOTANISTオフィシャルサイト 【ボタニスト】|シャンプー・トリートメント・スキンケアの通販サイト
植物を育てるように、心と身体をいたわり、毎日をほんの少していねいに暮らすこと。BOTANISTは植物が持つ豊かさと科学の最適なバランスを追求したヘアケア・スキンケア・ボディーケア製品をお届けいたします。

I-neから2015年1月に発売されたボタニストは、レッドオーシャンといわれる熾烈なヘアケア市場において大きく売り上げを伸ばし、2016年~2019年の家庭用シャンプー市場において売上・シェアNo.1を記録しています*。

*富士経済「化粧品マーケティング要覧」化粧品系家庭用シャンプーブランドシェア

本記事では、なぜ発売当時無名だったI-neが、大手ひしめくヘアケア市場でボタニストを大ヒットさせることができたのか、ヒットの背景にあるマーケティング戦略を解明し、皆様のお仕事に役立つトピックをお伝えできればと思います。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。




BOTANIST(ボタニスト)がヒットした理由

ボタニストが売れた背景には、ベンチャーの弱みを逆に好機に変えた緻密なマーケティング戦略がありました。

 『BOTANIST(ボタニスト)』がヒットした3つのポイント

  • 大手にはできなかった「尖った」差別化
  • 目先の売上より優先した「ブランディング」
  • ベンチャーの弱みを逆手に取った『流通戦略』

ヒットの理由① 大手にはできなかった「尖った」差別化戦略

ボタニストがヒットした最大の要因は、大手メーカーではやりにくい「尖った」差別化戦略に成功したことでしょう。差別化戦略とは、競合他社とは異なる製品群を出し、新しい市場を開拓する戦略をいいます。

以下の差別化によって、既存ブランドとは一線を画した商品ポジショニングとなり、消費者に受け入れられたのでしょう。

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差別化ポイントその①|パッケージ

大手企業は小売店での販売を前提としているため、店頭でのわかりやすさ、量産のしやすさを重視したパッケージが前提です。

一方ボタニストは、あえて白と黒をベースにした文字だけというとてもシンプルなパッケージデザインとしています。

これは「ボタニカルライフスタイル」というブランディングに則ったもので、あえてそぎ落とすことで日常に溶け込むようなデザインとなっています。消費者からは「逆に新しい」「写真映えする」とInstagramにオーガニック投稿が増える結果となりました。

差別化ポイントその②|価格帯

ボタニストは従来のシャンプーと比較すると高価格でありながら、サロンブランドと比較すると安価な1,500円前後という中価格帯で勝負しました。

大手企業はドラッグストアなどでの販売がメインのため、一般マスに受け入れられやすい低価格帯が多く、逆にサロンはバラエティショップなどで高価格で販売していました。この「二極化」の間にボタニストはうまくはまったのです。

差別化ポイントその③| 使用感

従来のシャンプーの場合、ある程度広いターゲットに受け入れられやすいよう、比較的軽い使用感のものが多い中、ボタニストはターゲットを絞り、使用感をしっとりとした仕上がりにしています。

この使用感が新しいとターゲットに受け入れられ、口コミやリピート購入につながっていきました。

ヒットの理由② 目先の売上より優先した「ブランディング」

ボタニストはCMを入れず、Web広告やSNS運用のみでここまで成長してきました。

広告で一気にユーザーを獲得するのではなく、ブランディングによって徐々にユーザーを増やしていった成功事例です。

近年の消費者の価値観の1つに、自分に合ったものを自分で選びたい「パーソナライズ」という特徴があります。
また、広告も多様化している中、「買って買って」というプッシュ型のマーケティングよりも、自主的に「買いたい」と思ってもらい、購入しやすい環境を作るプル型のマーケティングが重視されるようになってきました。

以下動画は2021年3月改良時のボタニストブランドムービーです。

実は効果効能といった「買い」につながるメッセージは一切ありません。このように、発売当時からボタニストは「ボタニカルライフスタイル」の世界観を伝達することに振り切っています。
これは当時他企業が中々できない戦略でした。通常、広告キャンペーンごとに結果が求められるからです。

また、効果効能を補完する意味で、当時はあまりなかったインフルエンサーから使用感などを発信してもらう「インフルエンサーマーケティング」を展開し、消費者の心にじわじわとブランドイメージや商品のメリットを伝播していったのです。

このブランディング戦略が、一過性ではなく長期にわたりボタニストの地位を築いた要因でしょう。

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ヒットの理由③ ベンチャーの弱みを逆手に取った『流通戦略』

マーケティングにおいては、どんなに商品にこだわっても消費者の手に届かないと意味がなく、どうやって販売するかまでこだわらないといけません。
これは「どのように商品を展開するか」という4P戦略にも含まれている、「Place」流通戦略です。

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ヘアケア市場において、ベンチャーがなかなか生まれないのはこの「流通」が大きな参入障壁となっていることも要因です。なぜならば、売れていない企業は小売のバイヤーから相手にもされないからです。

小売に相手にされない中、I-neがどんな戦略を取ったのか。それは、EC(Eコマース:ネット販売)で結果を出し、その結果をもって小売店にアタックするというものでした。

ECでの販売は、SNS中心で行っていたマーケティングとも親和性がありました。SNSで情報を得た人は、まず情報を調べるからです。

このプロモーション戦略とも合致したECでの販売が功を奏し、着実に売上を伸ばしたことで実店舗への展開も果たすことができました。またすでにWebで話題になっていたため、実店舗では欠品するほどの売れ行きでした。

まさに、弱みを逆手にとって成功した戦略です。

ヒットの理由 まとめ

まとめると、ボタニストが売れた背景には以下3つのポイントがありました。

 『BOTANIST(ボタニスト)』がヒットした3つのポイント

  • 大手にはできなかった「尖った」差別化
  • 目先の売上より優先した「ブランディング」
  • ベンチャーの弱みを逆手に取った『流通戦略』

大手にはできなかった「尖った」戦略で成功したボタニスト。ベンチャーには参入が難しい市場において、ここまで成功した事例は他にはないでしょう。

今後の市場の動きにも注目したいですね。

以上、ボタニストがヒットした理由について解説しました。




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