【ヒット商品のマーケティング事例】高価格帯入浴剤「BARTH」が人気となった理由

ヒット商品のマーケティング

1回分300円という高価格帯の入浴剤「BARTH」が人気を集めています。

2017年に誕生した同商品は、SNSで「泥のようにぐっすり眠れる」といった口コミが拡散され一躍話題となり、「@cosmeベストコスメアワード2019 ベスト入浴剤」「LDK the Beauty炭酸入浴剤部門 」など、数多くのメディアで第1位に選出。
発売から3年余りで売上10倍以上、年平均300%*という驚異の売上成長を見せています。

*WWD 「3年で売り上げ10倍の噂の入浴剤「BARTH」のヒットの裏側 睡眠アプローチで入浴剤市場を切り開く」より

高価格帯入浴剤「BARTH」

画像:TWOプレスリリース「BARTH中性重炭酸洗顔パウダー」がロフト ベストコスメ 2020SS スキンケア部門 洗顔・クレンジングに選出

発売元はトータルヘルスケアソリューションを展開する株式会社TWO。2015年創業のベンチャー企業です。

本記事では、なぜ無名だったメーカーが、マスブランドがひしめく中「BARTH」をヒットさせることができたのか、ヒットの背景をマーケティング観点から分析し、皆様の仕事に役立つトピックをお伝えしていきます。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

高価格帯入浴剤『BARTH』がヒットした理由

BARTHがヒットした背景には、他社にはない強みによる差別化と、ユーザーに着想を得た発想の転換がありました。

本記事では、以下3つのポイントから分析していきます。

 『BARTH』がヒットした3つのポイント

  • Twitterに着想を得た「睡眠」への価値転換
  • マスブランドと一線を画した差別化戦略
  • サンプリングを多用したプロモーション戦略

ヒットの理由① Twitterに着想を得た「睡眠」への価値転換

BARTHが話題となったのは、あるTwitterユーザーが「腰が抜けるほど気持ちいい」というツイートしたことがきっかけでした。
自然発生的に生まれたこのツイートは瞬く間に拡散され、これを皮切りに「気絶するように眠れた」「疲労感がとれた」といったツイートが一気に増加しました。

こういったユーザーからの発信に着想を得て、「睡眠」という社会問題にフォーカスした点が本商品成功の一因でしょう。

従来の入浴剤は、血行促進・リラックスといった「疲労回復」に関する訴求が多く、今では当たり前の機能となりつつあります。
そこでBARTHは「良い睡眠につながる入浴剤」という訴求を通じて、疲労回復から「睡眠」へ価値を転換したのです。

国内の入浴剤市場は約400億円なのに対して、睡眠市場は1兆円を超えています。社会問題にもなっている睡眠へアプローチすることによって、入浴剤を普段買っていない人の購入も期待できます。

社会課題を商品とつなげたこの「価値の転換」によって、今までにない付加価値を提供したことが、多くのユーザーの興味関心を集めた要因と考えられます。

提供する価値の切り口を変えてみることで、新たなユーザーを獲得することができる

ヒットの理由② マスブランドと一線を画した差別化戦略

BARTHの強みは、マスブランドと一線を画した「差別化」に成功したことでしょう。

本商品最大の差別化ポイントは、その炭酸イオンの量です。
古くから自然療法で使われてきた中性重炭酸泉を、家庭のお風呂でも簡単に体験できるように開発された本商品。
独自技術により高濃度の炭酸イオンをお湯に溶け込ませることで、低いお湯の温度でも体が温まり、新陳代謝を促す効果が期待できます。

さらに面白いのは、無香料・無着色という点。通常の入浴剤は香りや色がついているのが普通ですが、香料や色を削ることで、「中性重炭酸」というコンセプトを尖らせています。

パッケージもシンプルで商品説明はほとんどなく、あえて情報をそぎ落とすことで日常に溶け込むようなデザインとなっています。

このような商品設計により、マスブランドとあえて差別化をすることで、新たなユーザー層から支持を集めたことが成功要因の1つでしょう。

ユーザーニーズに合った差別化を図ることで、独自の商品ポジショニングとなり新たな市場を獲得する

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ヒットの理由③ サンプリングを多用したプロモーション戦略

BARTHのプロモーションにおいては、交通広告とSNSを頻繁に活用しています。
その特徴は、サンプリングを多く活用していることです。

渋谷駅、新宿駅に出現した巨大広告「睡眠投資カレンダー」は、お試し用のBARTH入浴剤が貼りついたピールオフ広告(グッズ等を貼り付けるプロモーション型広告)となっており、興味を持った人がそのまま入浴剤を持ち帰って試せる仕様となっています。

巨大交通広告「睡眠投資カレンダー」

 画像:BARTH ブランドサイト

Twitterでおこなった「#あの入浴剤にさくっと相談」キャンペーンでは、指定のハッシュタグを付けて悩みを投稿すると、その悩みに応じて必要な入浴剤の数を郵送で届けるという面白い取り組みが話題となりました。同キャンペーンではなんと合計30,000錠分ものBARTH錠をサンプリングしたのです。

「実際に使ってもらわないと良さが伝わりにくい」という考えのもと、あえてコストをかけて初回トライアルを促進することで、リピート購入だけでなく、オーガニックな口コミ醸成にもつながりました。

その結果、2020年1-12月の売上高は、前年比2倍の規模にまで伸長したのです*。

*マイナビニュース 「入浴剤ブランド「BARTH」、2020年のEC売上2倍 SNSと交通広告を有効活用

話題性のあるキャンペーンを通じて、ポジティブにトライアルを促進することで、新規ユーザーを増やすことにつながったものと考えられます。

商品に自信があるからこそできるプロモーション戦略です。

商品に自信があるからこそ、コストをかけてトライアル促進することで、リピートや口コミ醸成につながる

高価格帯入浴剤『BARTH』 ヒットの理由まとめ

以上をまとめると、高価格帯入浴剤「BARTH」がヒットした理由は以下3点と考えられます。

 『BARTH』がヒットした3つのポイント

  • Twitterに着想を得た「睡眠」への価値転換
  • マスブランドと一線を画した差別化戦略
  • サンプリングを活用したプロモーション戦略

他社にはない強みによる差別化と、ユーザーに着想を得た発想の転換は見事な戦略です。
以上、BARTHがなぜヒットしたのか、背景にあるマーケティングについて分析しました。

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