【企業マーケティング】Uber Eatsの変わったCMに隠された3つの狙い

マーケティング実践

在宅勤務の浸透や外出自粛により利用者が拡大したサービスの一つといえば、フードデリバリー「Uber Eats(ウーバーイーツ)」です。

サイトやアプリ上で近くの提携レストランが表示され、ユーザーが注文すると提携する配達パートナーに通知が届き、飲食店で料理を受け取ってユーザーが指定した場所まで料理を届けるという仕組みのデリバリーサービスです。

Uber Eatsの文字が書かれた大きなリュックを背負って自転車を走らせる人は目に見えて増えました。

サービス自体もさることながら、少し変わったCMも度々話題となっています。2021 年 9 月に開始した新CMでは松嶋菜々子とMattが共演し、松嶋さんが“Matt化メイク”に挑戦するという攻めた内容になっています。

松嶋菜々子&Matt 今夜、私が頂くのは… メイクアップ篇

Uber EatsのCMを見たことがある方は、「変わったCMだなぁ…」「これで購入につながるの?」と思ったことはありませんか?

本記事では、同社の攻めた広告に隠された狙いについて、マーケティング観点から3つの視点で分析していきます。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。

Uber Eatsの広告の狙い

理由① 単価の高い夜の注文を増やしたい

Uber Eatsは2016年9月にサービスを開始し、新しいユーザー体験と単身層でもデリバリーを頼みやすいという点から、短期間で急成長を遂げてきました。後発ながら今では出前館を超える店舗数を掲載しています。対応エリアや店舗数の拡大に伴い、ユーザー数も増やしてきました。

売上は拡大する一方で、利益が出にくいというのがUber Eatsが抱えている課題です。

デリバリーサービスのホワイトスペースだった単身層を狙ったことで成功したUber Eatsですが、一人の購入だと客単価が上がらないという課題もあります。

例えば1,200円の注文の場合、飲食店からUberへの手数料35%から配達パートナーへの支払いを引くと、Uberの取り分は100円~200円程度しか残りません。客単価が低いと収益性が極端に低くなってしまうビジネスモデルなのです。

米ウーバーテクノロジーズが発表した2020年10~12月期決算は、売上高が31億6500万ドル(約3300億円)、最終損益は9億6800万ドルの赤字でした。

客単価を上げるために夜の注文を増やしたいというのが、Uber Eats Japanのみならず世界全体としての狙いです。

CMでは共通して、「今夜私が頂くのは…」と始まります。これは世界共通のキャンペーンTonight I’ll Be Eating…(今夜私が頂くのは…)」のフォーマットです。

世界共通で夜注文の強化を行っている|Four  Tonight I’ll Be Eating…

「今夜私が頂くのは…」に続く料理は、「ブルーチーズバーガーにハラペーニョトッピング」「カルビビビンバ」「焼肉弁当」など、自宅ではあまり食べられない、「少し贅沢な一品」を選んでいます。

ファストフードが注文の多くを占めるUber Eatsですが、「夜ごはんにごちそうを頼もう」というメッセージを通して、夜の注文を増やして客単価を上げたいという狙いがあるのでしょう。

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理由② 異色の組み合わせによる化学反応

Uber EatsのCMでは主に2人のタレントがセットで登場しています。

黒柳徹子と女優の小松菜奈を起用したシリーズでは、あまり見ない組み合わせの2人が「今夜は何を食べようか」と日常的な会話を楽しんでいるのが新鮮でした。

他のシリーズでは、初共演となった俳優の阿部寛と山田孝之、プロテニスプレーヤーの錦織圭と野性爆弾のくっきー!など、あまり取り合わせない組み合わせのタレントを起用。

グローバルでは歌手のエルトン・ジョンとラッパーのリズ・ナズ・Xがコラボするなど、タレントの組み合わせによる化学反応やシュールなやり取りも見どころとなっています。

阿部寛&山田孝之 今夜、私が頂くのは… 彫像篇

情報過多の中でいかにブランドを記憶してもらい、お腹が空いたときに想起してもらうかが、デリバリー広告の重要なポイントとなります。

シュールな広告であえて違和感を残して記憶に残し、「今夜何食べようかな」と思ったときにふと想起してもらう。

異色の組み合わせと掛け合いの面白さが、ある種の違和感となって視聴者の記憶に残りやすいという点が、Uber Eatsの変わったCMの狙いの一つです。

理由③ お腹が空いたタイミングを狙う

Uber Eatsは、「今夜何食べようかな?」と検討しているタイミングでサービスを想起してもらうため、タイミングにもこだわった設計をしています。

CMの配信タイミングはもちろん、Web広告のタイミングや内容、アプリのプッシュ通知、アプリ内の販促などのタイミングにも気を配っています。

えなりかずきとゆりやんレトリィバァが共演した「バス停篇」では、「帰りながらオーダーして家で受け取る」という点にフォーカスして訴求しています。帰宅中の会社員を狙った設計で配信したところ、会社帰りの夜注文が急増したそうです。

えなりかずき&ゆりやんレトリィバァ 今夜、私が頂くのは… バス停篇

シュールなやり取りがメインのCMですが、共通して「どんなメニューを頼むか」「すぐに料理が届く」という点は具体的に描かれています。

「今日何食べようかな」とお腹が空いたタイミングを狙って配信することで、「焼肉弁当食べたいな」「家まで届くのいいな」と具体的に購入シーンをイメージしやすい内容となっています。

さらにCMで訴求しきれなかった、お得感や近隣店舗などの購買につながりやすい情報は、Web広告やアプリ通知で補完しているのです。

ブランドの認知を広げたり興味を持ってもらうためだけのCMではなく、お腹が空いたタイミングで配信してアクションに繋げたいという役割の一端も担っています。

Uber Eatsの広告の狙い まとめ

以上をまとめると、Uber Eatsの変わった広告に隠された狙いは以下3点と考えられます。

Uber Eatsの変わったCMの狙い

  • 単価の高い夜の注文を増やしたい
  • 異色の組み合わせによる化学反応
  • お腹が空いたタイミングを狙う

普段何気なく見る広告も、その考え方や狙いを知ることで企業の想いを汲み取れるかもしれません。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さい。

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