【企業マーケティング】今コカ・コーラが自販機に力を入れる3つの理由

マーケティング実践

在宅勤務の浸透や移動の自粛により、売上が減った業態の一つが自動販売機です。

日本最大のボトラーズであるコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス(以下コカ・コーラBJH)の2020年決算を見ると、自動販売機の販売数量は13%減少し、事業利益に大きな影響を受けました。

採算性の悪化などを理由に自販機事業の見直しに踏み切る企業もある中、コカ・コーラは自販機事業への投資をむしろ積極的に進めています。

2021年4月には、対応自販機などで使える同社の公式アプリ「Coke ON」の利用者に向けた史上最大のキャンペーン「さりげなく、未来です。」を開始。テレビCMシリーズの放送をはじめ、全国25都市におけるバス停広告、デジタル広告などの大規模プロモーションを展開しました。

コカ・コーラ TVCM「さりげなく、未来です。商店街」篇 15秒

本記事ではなぜ各社自販機事業の見直しを図る中、コカ・コーラは自販機に投資し続けるのか、その理由をマーケティング観点から分析し、皆様のアイデアのヒントになるトピックスをお伝えします。

本記事を書いた人

リコッタ
リコッタ

大学でマーケティングを専攻し、花王や食べログでマーケティングに5年以上従事。多くの新製品や新規事業を立ち上げてきました。




コカ・コーラが自販機に力を入れる理由

理由① 利益の多くを自販機で稼いでいる

コカ・コーラ製品が一番売れている販売チャネルはどこでしょうか?実はコンビニでもスーパーでもなく、自販機です。

2019年の清涼飲料水チャネル別実績では、自販機での販売数量比率は25%と第1位でした。2020年の実績では通勤や外出の機会が減ったこともあり、比率は24%に下がりましたがそれでも2位の実績です。

コカ・コーラ ボトラーズジャパン 2019年チャネル別販売数量

画像:コカ・コーラ BJH 2019年決算説明会資料より抜粋

販売数量以上に、利益の多くを自販機事業で稼いでいます。その理由は利幅の高さです。
安売りが常態化するスーパーなどと違って、定価で売ることができる自販機は利益率が高くなります。そのため、コカ・コーラBJHは、飲料事業の粗利益の4割以上を自販機で獲得しています。

良くも悪くも自販機事業への依存度が高いため、自販機事業の収益悪化を看過できないのが今の日本コカ・コーラの実情です。

理由② 台数市場トップならではの危機を機会に変えたい

日本には約200万台の自販機があり、そのうち約70万台をコカ・コーラが占めています。これはもちろん市場No.1シェアです。

自販機は一度設置すればコストが低いと思われがちですが、実はそうでもありません。自販機に商品を補充する作業は重労働と長時間労働が一般的で、人手が定着せずに人件費が上昇し続けています。

売り上げが減少する中、コスト増が続く状況を受けて、多くの飲料メーカーは不採算の自販機を撤去し台数を追わない戦略へと舵を切っています。

ここで自販機事業が衰退すれば、市場シェアのコカ・コーラの自販機資産はむしろ負債になってしまう。そこで業界トップとして、自販機事業を成長させてむしろチャンスに変えたいと狙っているのです。

2020年決算資料ではコカ・コーラBJH売上回復の三本柱の中心に自販機(ベンディング)が据えられている

画像:コカ・コーラ BJH 2020年決算説明会資料より抜粋

自販機撤去のトレンドと逆行する戦略の背景には、自販機の進化への期待もあります。

最近では化粧品や食品など、DtoCと自販機の相性の良さからその価値が見直されつつあります。購入方法も硬貨を入れるやり方から、スマートフォンの画面上で商品を選べたり、さまざまな決済方法を選択することができるようになるなど進化を続けています。

コカ・コーラBJHはコスト削減やユーザー体験の向上に投資を続けています。今こそ注力することで、危機を未来のチャンスに変えようとしているのです。

理由③ コークオンアプリの成功

日本コカ・コーラは9月15日、自動販売機での購入ごとにスタンプが貯まるスマートフォンアプリ「Coke ON(コークオン)」のダウンロード数が3000万回を超えたと発表しました。

コークオンは、日本コカ・コーラの自動販売機で購入するたびにスタンプが押されるスマートフォンアプリとして、2016年にリリースされました。スタンプ15個につき1本無料となるチケットがもらえます。
以降、目標歩数に到達したり、合計の歩数に応じてスタンプがもらえる機能のほか、キャッシュレス決済や定額制サービスなど機能を拡充してきました。今年の4月には史上最大のキャンペーン「さりげなく、未来です。」を展開し利用者を増やしています。

3,000万DLを超えるアプリを通じてのユーザーとの接点は、日本コカ・コーラにしかない大きな武器です。また、ユーザーの購買情報をデータで持てる点もメリットとなっています。

これから自販機の在庫情報などもデータで管理できれば、配送オペレーションの効率化を上げることも、商品ラインナップの改善に活かすことも可能となります。アプリのデータと合わせて、ユーザーが自販機の近くを通ったら通知を出したり、ユーザー毎に適したドリンクを表示するなどのユーザー体験向上にもつながるでしょう。

コカ・コーラの武器を活かしてプラットフォーム展開することができれば、他社には真似できない魅力的な事業へと昇華する可能性を秘めているのです。

コカ・コーラが自販機に力を入れる理由 まとめ

以上をまとめると、コカ・コーラが自販機に力を入れる理由は以下3点と考えられます。

コカ・コーラが自販機に力を入れる理由

  • 利益の多くを自販機で稼いでいる
  • 台数市場トップならではの危機を機会に変えたい
  • コークオンアプリの成功

一見トレンドと逆方向の展開のようで実は大きな可能性を感じさせる、コカコーラならではのマーケティング戦略でしたね。

他にもヒット商品の裏側なども解説していますので、ぜひアイデアの参考にしてみて下さい。

関連記事 ヒット商品のマーケティング

ヒット商品のマーケティング
ヒット商品が売れた理由をマーケティング観点で3つのポイントから解説。




 

タイトルとURLをコピーしました